[オピニオン from CIO賢人倶楽部]

2030年に向けた備え・その2─改めて「DXに取り組む必然」を考える

2021年5月12日(水)CIO賢人倶楽部

「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。

 前回、CIO賢人倶楽部コラムに寄稿したのが2016年、「2030年に向けた備えはどうあるべきか」という内容だったと記憶している。当時にしてみればまあ随分と先の話だったが、そこから丸5年が経過して再び機会が巡ってきたので、その間の社会環境の変化も加味し、もう少し身近な話と捉えて、「2030年に向けた備え・その2」として書いてみたい。

 2016年当時はリオデジャネイロ五輪の直前で、「リオを起点に東京五輪への期待が一気に高まる」と書いている。ビジネス界を賑わせていたキーワードはどうだったかというと、2015年には「Industrie 4.0」や「IoT」、2016年には「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉が出現しつつあり、また「“ものづくり”から“ことづくり”へ」などということもよく叫ばれていた。すでにちょっと懐かしい感じがするワードもある。

迫ってきた「2025年の崖」とレガシーマイグレーション

 5年後の現在はどうであろうか。2021年4月現在、東京五輪が果たして開催できるのかは甚だ不透明である。キーワードは読者によって関心事項はさまざまかと思うが、やはりDXになるだろう。

 「DXへの備えが2030年までかかってよい」と考える人はまずいないはずだが、備えの中には一朝一夕で片付かない足の長いタスクも含まれている。そのうちの最も大きなものの1つが、経済産業省が2018年発行の「DXレポート」で指摘した「2025年の崖」ではないだろうか。このコラムのタイトルより5年も手前に「崖」があるのだから、悠長に構えている暇はない。

 筆者の勤務する会社では、2000年を境に新規構築する業務システムはほぼすべてオープン系Webシステムになっている。しかし1980年代に構築されたホスト系のCOBOLで書かれたシステムは数にして100以上、COBOL行数にして約5000万ステップもの資産を抱えており、今も立派に現役で企業の基幹を支えている。むろん、放置してきたわけではない。

 それらのシステム群を、①付加価値を伴った再構築、②単純コンバージョン/リライト、③廃止、④塩漬けの4象限に分類し、経営に対しては年次の戦略議論の際に「崖の脅威とそれを越える難しさ・重要性」を説いてきた。加えて会社としてのIT投資の優先順位の考え方を時限立法ではあるが変更し、2025年の崖を越えるための投資に優先配分ができるようなスキームも導入してきた。

 その甲斐もあり、すでに、①に属するシステムのトップ3を再構築するプロジェクトがキックオフされ、いくつかはすでにカットオーバーを迎えることができた。②の単純コンバージョン/リライトは資産規模が大きく、いったん開始すると方向転換が難しくなる。現在、その手法やツールを慎重に検討中である。COBOLに限らず、たとえJavaで書かれたシステムでも築後20年も経過すると崖を越えるための阻害要因になりかねない。まさにいたちごっこの毎日である。

 さて、DXの話題について2025年の崖の話から入ったが、2020年12月に発行された「DXレポート2(中間取りまとめ)」でも繰り返し訴えられているように、「DX=レガシーシステムの刷新」ではないことは論を要しない。そこで以下、DXそのものの進展・準備の度合いはどうなっているのかに目を転じてみたい。

●Next:コロナ禍が促した、DXを推進することの必然性・重要性

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デジタルトランスフォーメーション / 2025年の崖 / DX推進指標 / レガシーマイグレーション / COBOL / オープンシステム

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