豊田通商は、船舶向け燃料の受発注を一元管理するクラウドサービス「BunkerNote」を、ブロックチェーン技術を活用して構築した。燃料サプライヤーなどに向けて提供する。ブロックチェーン基盤ミドルウェアとして、米R3 HoldCoが開発した「Corda」を使う。システム構築を支援したSIベンダーのTISが2021年7月29日に発表した。
豊田通商が構築した「BunkerNote」は、船舶燃料、舶用潤滑油、船用品の受発注、納品実績、請求情報の一元管理を行うクラウド型業務アプリケーションである。内航船社、燃料サプライヤー、燃料配給船社などに向けて提供する。
BunkerNoteでは、これまで紙ベースで行っていたバンカーオイルの商流を、ブロックチェーンを使って電子化した(図1)。紙に比べて内容の改竄が容易という文書の電子化の課題を解消すべくブロックチェーンを採用したという。
国内船舶燃料業界では従来、電話やファクスによる受発注や、船上で手書きの納品書を作成するなどの商慣習が残っていた。受発注手続きを電子化することで、書類の処理、整合性の確認、郵送や保管などにかかるコストを削減する。加えて、文字の読み間違えなどによるヒューマンエラーを抑制する。
BunkerNoteの最初の機能として、2021年6月14日からデジタルBDNサービスを開始している。海上での補油業務で行われるBDN紙帳票への署名作業などを電子化し、海上作業の作業負荷を削減した。さらに、BDNに記載してある情報の伝達速度と正確性を向上させた。
続く機能として、同年8月に受発注管理の基盤サービスを開始する予定である。これまで電話やファクス、メールなどで行っていた船会社と燃料サプライヤー間の受発注、補油条件、請求のやり取りを電子化する。コミュニケーションコストを抑制し、正確性を向上させる。また、各取引の状況をリアルタイムで把握できるようにする。
従来の方法からBunkerNoteに切り替えることで、数日間かかっていたBDNの手書き郵送業務を短縮し、補油当日に原票の入手が可能になる。また、各種取引情報をCSV(カンマ区切り形式)ファイルで提供することで、紙からの転記が不要になり、手間やヒューマンエラーを軽減する。