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[調査・レポート]

日本企業のデータガバナンス成熟度は概して不十分、今後なすべきことは?

EY Japan「データガバナンスサーベイ2021」の調査結果が浮き彫りにした課題

2022年3月16日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

日本企業は、データ保護や情報漏洩防止などの領域では比較的高い成熟度にある一方、組織横断型で安全にデータを活用するためのデータガバナンス体制の整備が総じて不十分である──。英国の会計事務所/コンサルティングファームErnst & Young Japan(EY)の日本法人、EY Japanは2022年3月14日、日本企業のデータガバナンスの整備・運用状況に関する調査「データガバナンスサーベイ2021」の調査結果を発表した。同調査が浮き彫りにした課題、そして今後取り組むべきことは何か。

現状は“守り”のデータ活用重視の日本企業

 EY Japanでは、データガバナンスを「広範な領域にまたがるデータ資産の管理におけるルールと順守基準を策定して統制すること」と定義している。同社は、業務効率化、新規事業開発、顧客満足度の向上などを目的としたデータ活用の取り組みが増える中で、多くの日本企業においてステークホルダー資本主義に対応したデータガバナンス体制の構築が急務であると考えている。

 「ガバナンスが適切に機能していない企業では、組織横断的にデータを有効活用する環境構築が困難となり、業務効率や生産性向上の機会損失のみならず、適時・適切に有効な情報発信が行えない恐れがある」(EY Japan)。

 同社のデータガバナンスサーベイ2021は、DAMA-DMBOKフレームワーク(注1)にある11の知識領域(表1)をベースにした全21問で構成するユーザー動向調査。国内企業506社を対象に(回答者は財務・経理担当者と情報システム担当者が中心)、2021年9月にインターネットで調査を実施した。

注1:DAMA(Data Management Association)は、世界80カ国に支部を持つデータ専門家/データマネジメントの非営利団体。同団体がデータマネジメントに関する知識を体系的にまとめた書籍の2017年刊行第2版『DAMA-DMBOK: Data Management Body of Knowledge 2nd Edition』(日本語版『データマネジメント知識体系ガイド 第二版』)。通称DMBOK2の同書で定義されている11の知識領域がDAMA-DMBOKフレームワークである

表1:DAMA-DMBOKフレームワークを構成する11の知識領域(出典:EY Japan)
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 図1は、調査結果から算出した回答企業の「知識領域別成熟度」である。このグラフが示すように、データの保護や情報漏洩防止が主眼に置かれた「データセキュリティ」や「データストレージとオペレーション」といった“守り”のデータ活用は、比較的高い成熟度となった。一方、データ活用基盤となる「データガバナンス」「データアーキテクチャ」などの平均成熟度は低い結果となっている。

図1:データガバナンスサーベイの「知識領域別成熟度」(出典:EY Japan「データガバンナンス2021」)
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 EY Japanは後者を、収益増加の目的や、ESGなどのサステナビリティ関連活動状況を非財務情報として開示する目的といった“攻め”のデータ活用で重要となる領域であると指摘し、次のように説明している。「複数の異なる情報源からデータを入手し、加工・変換など行った上で蓄積・利用することが求められる活動で、多くの日本企業において、組織横断的にデータを活用するための体制の整備がまだ不十分な状況であると考えられる」

●Next:ステークホルダー資本主義に対応したデータガバナンスとは?

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