IDC Japanは2022年7月6日、2021年の国内クライアント仮想化製品市場の調査結果を発表した。VDI環境をクラウドサービスで提供するDaaSが前年比17.6%増の959億円と伸長した。一方でオンプレミスの仮想化製品が前年比1.9%減の6215億円となった。
IDC Japanは、2021年の国内クライアント仮想化製品市場の調査結果を発表した。デスクトップ仮想化基盤(VDI)をクラウドサービスの形態で提供するDaaS(Desktop as a Service)市場の売上額は959億円で、前年比17.6%増と大きく増加した。同社はこの傾向は2022年以降も続くと見ている。
DaaS市場売上高でベンダーシェアを見ると、NTTデータ、富士通、日鉄ソリューションズ(NSSOL)、IIJ、NEC、日立製作所の順だった。IDCによると、プライベートクラウドから提供するDaaSに加えて、パブリッククラウドを用いたクライアント仮想化サービスが増えているという。
一方、オンプレミスのクライアント仮想化製品の売上額は6215億円で、前年比1.9%減だった。売上高のシェアは富士通、日立、NEC、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、キンドリルジャパン、NTTデータ、日本ヒューレット・パッカードの順だった(図1)。
「2021年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大と抑制が繰り返され、試行錯誤の1年だった。オンプレミス型クライアント仮想化製品の市場は、2020年に引き続き、2年連続で前年比マイナスだった」(同社)。
また、シンクライアント専用端末については、2021年の出荷台数は総計21万9014台で、前年比30.7%減と、2020年に引き続きマイナス成長だった。IDCは、この分野は2022年が底になると見ている。「市場規模が小さく、超大型案件(数万台規模)のリプレースメントサイクル(7年)に影響を受けるため、過去最大の出荷台数を記録した2019年の7年後にあたる2026年に再びピークを迎える」(同社)。
シンクライアント専用端末の売上高で見たベンダーシェアは、日本HP、富士通、デル、Atrust、NECの順だった。フォームファクター別に見ると、2020年は全体の約7割超をモバイルシンクライアントが占め、ここ数年、モバイルの割合は上昇傾向を示しているという。
クライアント仮想化市場が成長を続ける背景についてIDCは、「今後のウイズコロナ時代においては、ビフォーコロナ時代のような社会に戻らない可能性が高く、オフィスワークとリモートワークなど複数の働き方を組み合わせたハイブリッドワーク時代を迎えている」と説明する。
今回の発表は、同社の「国内クライアント仮想化市場シェア、2021年:ハイブリッドワーク時代へ向けて」で詳細を報告している。同レポートでは、国内クライアント仮想化市場のベンダー競合状況について分析しまとめている。