[調査・レポート]
2022年度の国内ERP市場は前年比112.4%、成長要因に電帳法対応やクラウド移行─デロイト トーマツ ミック研
2022年8月3日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
デロイト トーマツ ミック経済研究所は2022年8月3日、「基幹業務パッケージソフト(ERP)の市場展望【2022年度版】」を発刊したと発表した。ERPを中心とする基幹業務パッケージソフトウェアの市場動向やベンダー動向を分析した調査資料である。これによると、ERP市場全体の2021年度の総市場規模は2232.9億円で、前年対比112.5%だった。2022年度は2500.9億円、前年対比112.4%と順調に成長するとしている。
デロイト トーマツ ミック経済研究所の「基幹業務パッケージソフト(ERP)の市場展望【2022年度版】」は、ERPを中心とする基幹業務パッケージソフトウェアの市場動向やベンダー動向を分析した調査レポートである。ソフトウェアベンダー54社などを対象に、規模別のERPパッケージと連結会計パッケージなど5つの製品分野について調査した。取材したベンダー各社の数値にその他の推計値を積み上げ、2020年度から2022年度における基幹業務パッケージソフトウェアの分野別市場規模と、2026年度までの中期予測を行っている。
同レポートによると、ERP市場全体の2021年度の総市場規模は2232.9億円で、前年対比112.5%の成長となった。電子帳簿保存法/インボイスなど法的要件への対応や、オンプレミスユーザーのクラウド移行、業種・業界にフォーカスしたテンプレートの拡充などが市場拡大の要因になった(図1)。
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年商500億円以上の大手企業向けERP市場は、2021年度出荷金額751.3億円、前年対比109.9%で、オンプレミスユーザーのクラウド移行が貢献している。また、統合プラットフォーム戦略として、ERPやBIツールなどを同一プラットフォーム上に乗せ、さまざまなデータを分析して経営の指標とするデータドリブン的なERP活用が進んでいるという。
年商50~500億円の中堅企業向けERP市場は、2021年度出荷金額820.1億円、前年対比110.7%だった。同社は、オンプレミスと比較してカスタマイズが少ないクラウドERPを提供するにあたり、業種・業界にフォーカスしたテンプレートの拡充や、専門チーム設立などの特化型の営業体制強化が業績拡大につながっていると説明している。
年商5~50億円の中規模向けERP市場は、2021年度出荷金額280億円、前年対比110.7%だった。「電子帳簿保存法やインボイスなど各種法改正に対応した会計システムの入れ替えが進んでいる。これを後押ししているのが、IT導入補助金の積極的な活用である。また、ユーザーの規模が中堅企業の上位レンジまで拡大している傾向があり、案件単価が高くなったことも影響している」(同社)。
年商5億円未満の中小企業向けERP市場は、2021年度出荷金額381.1億円、前年対比123.7%だった。同社によると、複数モジュール提案による既存ユーザーのアップセル/クロスセルなどの案件大型化や、中堅・中小レンジ向けの機能強化による中規模企業など上位規模ユーザーのカバレッジ拡大が高成長の要因になったという。