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マルチ クラウドにおけるシームレスな DB 環境を実現する画期的なソリューション「Aiven」とは?

2023年8月7日(月)

要件に応じて異なるクラウド サービスを適宜選択、使い分けるマルチ クラウドに対するニーズはさらに拡大している。適材適所のサービス利用や、プラットフォームの分散による障害発生時の事業継続性の確保など、その理由は様々だ。そうした中で、近年では、マルチ クラウド環境においてもシームレスにデータを移行、連携、活用できるデータベース基盤の実現が求められている。だが、複数のクラウド サービス間での迅速かつスムーズなデータ移行やデータ連携を実現させることは至難の業だ。そうした課題を解消するものが、Aiven のデータ プラットフォームだ。クラウド型のデプロイ/マネージド サービスとして提供される同社のプラットフォームはどのように実現され、どのようなメリットをもたらすのか――。

マルチ クラウドのデータ基盤を数クリックで構築

 このような課題を解決するために、PostgreSQL や Apache Kafka といったオープン ソース(OSS)のデータ関連ソフトウェアを、パブリック クラウド上でマネージド サービスとして提供しているベンダーが Aiven だ。

 2016 年、フィンランドで設立された Aiven は急速な成長を遂げ、現在、政府、金融、製造、物流などの分野で、世界 100 以上の地域に 1,000 社以上の顧客を獲得している。2022 年には日本法人も設立し、国内での事業展開も本格的に開始した。

 Aiven の最大の特長は、マルチ クラウドにおけるデータベース環境を容易な操作で実現できること。「Web コンソールを介して、例えば Apache Kafka、PostgreSQL などの利用したいデータベースとそのバージョンを選択、次にデプロイしたいクラウドとそのリージョンを選んだ後、必要な設定を入力するだけで、Apache Kafka や PostgreSQL をデプロイすることができます。これらの作業も数クリックするだけで済むため、最短 10 分で設定を完了させることが可能です」と嘉門氏は説明する。

 もう 1 つの特長は、Aiven のプラットフォーム上で提供されるデータベース、およびプラグインに OSS を利用していることだ。データ収集からデータ ストレージ、データ分析、そしてデータ可視化まで OSS を利用し、データ活用に関するすべての工程を Aiven のプラットフォーム上で提供している(図 1)。

図 1 Aiven が提供するデータ プラットフォームの全体像
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 「Aiven のプラットフォーム上に用意されている 11 種類の OSS は、基本的にアップストリームそのままの OSS を提供しています。Aiven は各 OSS コミュニティにおいて、ソースコードの修正や新機能追加などのコミッター(コミット権のある技術者)を配しており、アップストリームに貢献するとともに、Aiven のプラットフォームにも還元しています」(嘉門氏)

 さらに、エンタープライズ企業であってもスタートアップ企業であっても、マルチ クラウド環境下で容易に、かつ、安心してデータ関連 OSS を利用するための管理機能をプラットフォームに付加している。具体的には、データのバックアップやリソースの冗長化と障害発生時の自動復旧、そしてセキュリティなど、マネージド サービスの実現に不可欠な機能を標準で用意している。

 「セキュリティの観点から顧客データベースから分析基盤にデータを移行させる際に、顧客名や口座番号、住所といった機密情報は持ち出したくない、といった要望は少なくありません。対して、Apache Kafka や Apache Flink を用いて、新たなトランザクションが発生した際にも、移行させたくないデータ項目をリアルタイムでマスクしたり削除したりしたうえで、複数のレコードを結合して異なるデータ分析基盤に移行させることが可能です。これらの処理はクラウド サービスの種類を意識することなく、一連のデータフローとして実現できることも大きな特長です」(嘉門氏)

 先に嘉門氏が述べたように、アプリケーション開発者がデータベース環境の構築を自ら行おうとした場合には、インフラやセキュリティに関する広範なスキルや知識が必要となる。そうしたことから、新サービスの立ち上げやアプリケーションの機能強化に際してデータベース環境が必要となった際には、インフラ部門に立ち上げを依頼することが一般的であったと思われる。だが、データベース環境の立ち上げに、都度、インフラ部門に依頼をしていたのでは、迅速なアプリケーションの開発やリリース、ひいては市場競争力のあるサービスのいち早い提供の足かせとなってしまいかねない。Aiven の提供するデータ プラットフォームはそうしたアプリケーション開発者が抱える課題を解決するだけでなく、インフラ部門の業務負担も削減するものと言える。

Google Cloud の高度なデータ サービスが容易に利用可能

 マルチ クラウドでのデータベース環境が実現されることで、数々のメリットがもたらされる。1つが、適材適所のクラウド サービスを活用した、データ分析基盤が実現できることだ。

「先にも述べたように、データ分析に Google Cloud の『BigQuery』や『Vertex AI』を利用したいという声は増えています。対して Aiven のプラットフォームを利用すれば、マルチ クラウドであることを意識することなく、他社クラウド サービス上にアプリケーションが構築されていたとしても、Google Cloud 上にリアルタイムにデータを移動させ、それらの最新テクノロジーを利用できるようになります」(嘉門氏)

 マルチ クラウドにおけるデータ基盤のガバナンス強化にも有効だ。

 「最近では、各クラウド サービス上にシステムが乱立し、『誰が、どこに、どのような基準でデータベース基盤を構築しているのか分からない』といった問題も多々、発生しています。そこで Aiven のプラットフォームを活用し、マルチ クラウド環境におけるデータベース基盤を統合することで、セキュリティやガバナンスの強化を高いレベルで実現可能となります。加えて、各データベース サービスの利用状況も可視化されるため、『このサービスは、適切な費用で利用されているのか』といった視点で把握できるようになり、コスト抑制にも役立てられるようになります」(嘉門氏)

 近年では、AI を活用したリアルタイムなデータ分析でのユースケースも増えているという。

 「他社クラウド サービス上に販売サイトを構築しているが、Vertex AI を用いて顧客の購買履歴や寄せられたクレームなどをリアルタイムで分析したい、というニーズもあります。そのためには、日次週次といったバッチ処理でのデータ移行では意味がなく、リアルタイムなトランザクションを取得しなければなりません。そうした要件に対応するものとして Aiven を活用するケースが増えています」(嘉門氏)

 このほかにも、国をまたいだ BCP/DR の実現など、ビジネスの継続性の観点からも需要が増えている。特にエンタープライズ企業での災害対策ニーズが増えており、求められる要件も高度化し、単に拠点間でバックアップを行うだけでなく、「数秒以内に、データベース環境を切り替える」といった厳格な要件が寄せられることもあるという。そうした要望にも Aiven であれば対応可能だ。

Aiven とのパートナーシップにより
Google Cloud を活用した高度データ基盤の構築を支援

 Aiven との戦略的パートナーシップにより、企業のマルチ クラウド下におけるデータ分析基盤の構築をサポートしているのが、クラウドエース株式会社である。Google Cloud のマネージド サービス プロバイダであるクラウドエースは、Google Cloud を活用したシステム開発・運用において数多くの実績を有する企業だ。Google Cloud の導入・移行計画の策定から構築・運用、システムやアプリの開発、さらに認定トレーニングなど、Google Cloud に関する一連のサービスをトータルで提供する(図 2)。

図 2 クラウドエースが提供するサービス
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 クラウドエースの事業推進本部/マーケティング部 部長の小澤大地氏は、「当社は Google Cloud の活用を主軸とする SIer ですが、最近では、他社クラウド サービスを利用しているお客様から『Google Cloud の BigQuery をデータ ウェアハウス基盤として利用したい』という引き合いが増えています。そうしたマルチ クラウドを前提とした要望にも、Aiven を活用することで対応が容易になりました」と語る。「これまで Google Cloud で『Apache Kafka』や、検索エンジンである『OpenSearch』、分散データベースの『Apache Cassandra』といった OSS を利用する場合、IaaS 上に自前で構築する必要がありましたが、Aiven を使えばマネージド サービスとして利用することができます。当社のソリューションの幅を大きく広げられ、お客様にとって最適な提案が行えるようになっています」(小澤氏)

 ユーザー企業への提案を行うパートナーの観点から、Aiven のどのような点を評価しているのか。小澤氏は「操作の容易性が大きな魅力です。ユーザー インタフェースが優れており分かりやすいほか、数クリックで簡単に Google Cloud や他社のクラウド サービスにも接続できます。これにより、マルチ クラウド環境下でのデータベース環境をすぐに構築できます。また、ほかの OSS のマネジメント ツールを利用したいと望むお客様にも安心して提案できると判断し、嘉門氏から Aiven のプレゼンテーションを受けた後、すぐにパートナーシップを締結しました」と振り返る。

 Aiven が提供するプラットフォーム、および、それを利用したクラウドエースのトータル サポートにより、マルチ クラウド下における企業のデータ活用が一気に広がりそうだ。

 最後に嘉門氏は、次のように今後の展望を語った。

 「Aiven は『The trusted open source data platform for everyone』という企業理念を掲げており、これからも OSS を活用したデータ活用基盤の構築を支援し続け、企業のデータ活用にとって有用となる OSS を Aiven のプラットフォームに取り入れていく計画です」(嘉門氏)


●お問合せ先
Aiven Japan合同会社
https://aiven.io/ja
クラウドエース株式会社
https://cloud-ace.jp/

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