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ソフトウェア活用の第一歩は“ユーザー ファーストの視点”。真のUX向上とその方法とは?

2023年11月27日(月)

いまや、すべての製品やサービスにおいて、ソフトウェアの活用による付加価値向上が不可欠となっている。また、社内の業務効率化や生産性向上など、DXを加速させるためのけん引力としてもソフトウェアの活用が欠かせないものとなっている。だが、顧客や従業員から「使いにくい」「操作が面倒で分かりにくい」といった声が寄せられ、その結果、導入、開発したものの利用してもらえないソフトウェアも数多く存在している。そうした事態を回避し、顧客や従業員の満足度を向上させるソフトウェアやサービスの開発、導入を成し遂げるために不可欠となるのが、優れた「ユーザー体験(UX)」の提供だ。その実現のために、どのような視点に立ち、どのような手立てを講じていけばよいのか。UX のスペシャリストのお二人に聞いた。
提供:グーグル・クラウド・ジャパン合同会社

UXの向上にはユーザー ファーストの視点が不可欠

 ユーザー ファーストの視点に立ったゴールを設定しつつ、優れたUXを提供する仕組みを実現していくために、情報システム担当者やソフトウェア開発者は何を考えなければならないのか。矢野氏は、「まずはユーザーを知ることが第一です。すなわち、ユーザーニーズを調査して、そこで見つけ出したユーザーの問題や要望、それらがどのような理由でどのように現状の製品デザインと乖離しているかなどの製品の課題を正しく把握していくことが重要だと考えています」と強調する。

 「さらに、探り出した複数の課題について、その深刻さの度合いを可視化します。ユーザーの課題がわかると、ビジネスの観点からみた機会も見えてきます。そのうえで、スケジュールやビジネスゴールとの兼ね合いを考えながら、解決すべき課題の優先順位を定めていきます」(矢野氏)

 そして、新しい解決策(デザインなど)がどのようなものであればこれらの課題が解決されるか、またはビジネスとしての機会が増えるのかを考えます。実際にそれがデザインに落とし込まれたら、その時点でユーザーを交えて検証を行っていく。「問題解決のための様々なアイデアが浮かびあがる中で、初期段階のデザインをユーザーに利用してもらい、このアイデアで問題が本当に解決しているかを評価します。初期段階は本当に紙や画像のUIデザインのみでも構いません。早い段階でユーザーテストを実施すれば、アイデア自体がニーズを満たしていない場合、この段階でそれが判明することも多いので、別のアイデアに変更するといった対応も容易になり時間や金額のコストも抑えられます」と矢野氏は語る。

 最初のユーザーテストは早ければ早いほど良く、開発作業に入る前に画面遷移図で行うこともあるという。開発がある程度進んでしまうと、問題が発覚しても「せっかくここまで作ったのだから」と小規模な改修で済ませようという心理状態に陥り、結果「使われないソフトウェア」に繋がるからだ。

 「ユーザーを交えた検証を行っていく中では、当初はさほど重要でないと思っていたアイデアに多くの価値を感じてもらうなど、当初の仮説と反することが出ることも少なくありません。そうした事象に遭遇した際には、さらに掘り下げてリサーチを行ったり、新しい仮説をたてて検証したりするなどの取り組みを行っていきます」(矢野氏)

 また、大山氏は、「優れたUXを有した、ユーザーに利用してもらえるソフトウェアの開発、導入に成功している企業の多くは、ウォーターフォール型の開発からアジャイル開発の仕組みにシフトしています。つまり、仮説を基に開発中のソフトウェアをユーザーに利用してもらいつつ、ターゲットとするユーザーが当初想定していたことと違う動きをしたり、利用している中でつまずきが発生したりするポイントが見えた際には開発途中でも改修を実施します。そうしたPDCAサイクルを回しながら、理想のユーザー体験を実現していきます。優れたUXをうみ出すことができない企業は、開発側に課題があることより、上層部中心の社内文化にしばられていたり、開発のプロセスを更新できていなかったりということが多いように見受けます」と話す。

UX向上を強力に支援するPendoのプラットフォーム

 ユーザー ファーストを念頭に置いたソフトウェアの開発やサービスの導入、そして優れたユーザー体験を実現するためには、データに基づく検証と改良が不可欠となる。

 そうしたユーザーからのデータに基づいた、UXの向上を支援し続けているのがPendoだ。2013年に北米で誕生したPendoは、社内外のあらゆるソフトウェアを対象とした分析を行うとともに、その活用を促進させるUXの実現を支援するためのSaaSサービスを提供している。

 Pendoが提供する主な機能は、「分析」「アプリ内ガイド」「フィードバック」の3つだ(図2)。それぞれについて説明していこう。

図2:Pendoが提供する3つの機能
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 はじめに分析機能であるが、ソフトウェアやクラウドサービスを利用するユーザーの行動をログデータとして取得、集計して分析を行う機能である。これにより、ソフトウェアやサービスがユーザーによって実際にどのように使用されているか、また、どの機能がユーザーにとって最も付加価値が高いのか把握したりすることが可能だ。また、ユーザーがどの部分で操作に行き詰まったり、途中で離脱したりするかも見える化するため、ユーザー体験を阻害している要因を把握することもできる。

 続く「アプリ内ガイド」機能は、ソフトウェアやサービスを利用しているユーザーの属性等に応じて、ガイドラインやメッセージを「ガイド」としてポップアップ表示させるものだ。例えば、ソフトウェアやサービスの基本的な使い方を習得するためのガイドを表示させたり、利便性の高い特定の機能への誘導を行ったりすることで、ソフトウェアの活用を促進させることを可能とする。

 そしてフィードバック機能は、ソフトウェアやサービスに対するユーザーの利用状況や、その評価を収集するもの。ソフトウェア/サービスに対するユーザーのロイヤリティを測るNPS(Net Promoter Score)や5段階評価といった定量的なものから、アンケート/コメント等の定性的な評価を収集することで、満足度を調査したり、ユーザーニーズを把握したりできるようになる。

Googleとともに日本企業のデジタル化を支援

 これらの3つの機能が、単一のプラットフォーム上に統合され提供されていることがPendoのプラットフォームの強みだ。大山氏は、「データを取得できたとしても、その後の行動を改善できるような仕組みがなければ、実際に改善を行うことはできません。同様に、ユーザーの状況を把握しないまま、ガイドだけを用意しても逆にユーザー体験を損なうリスクがあります。ユーザーが求める体験はそれぞれの立場で異なっており、最適なUXを実現するためのパーソナライズが不可欠です。そのためにもデータが必要であり、かつ、ユーザーの行動に関するデータを収集、分析したうえでパーソナライズ化されたガイドの作成が不可欠となります。Pendoのプラットフォームはこれらの機能群が統合されているため、最適なUXの実現を支援することが可能です」(大山氏)

 さらにPendoが持つ大きな優位性として、コーディングが不要で利用できることが挙げられる。「ローコード/ノーコードの仕組みの提供により、アプリケーション開発に習熟したスキルを有するエンジニアではない、現場の業務部門の担当者であっても、UX向上に向けたデータの収集を行ったり、ガイドを作成したりすることができます」と大山氏は説明する。

 これまで説明してきたように、社内向けの業務アプリケーションであっても、顧客に対するソフトウェアであっても、ユーザーの満足度を高め、利用を促進させていくためには優れたUXの実現が不可欠となる。最後に大山氏は、次のように今後の展望を語った。

 「Googleは、Google Cloudをはじめ、企業のデジタル化を支援するためのプラットフォームを提供しています。私たちはそのプラットフォーム上でソフトウェアを利用しているユーザー企業や、ソフトウェアを開発しユーザーに提供している企業に対して、UXの向上、ひいてはデジタル化を支援するためのソリューションを展開しています。そうした関係性の中、今後もGoogleとともに、UXの視点から企業のデジタル化を支援していきたいと考えています」(大山氏)


●お問合せ先
グーグル・クラウド・ジャパン合同会社
https://cloud.google.com/?hl=ja
Pendo.io Japan株式会社
https://jp.pendo.io/

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