新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）、北海道大学、BIPROGY、テクノフェイスの4組織は2024年1月10日、触診で得た触覚情報を遠隔地にいる医師と共有する遠隔触診システムを開発した。北海道大学病院、帯広厚生病院、函館中央病院の道内3病院を結んだ遠隔触診の実証に成功したことを発表している。2024年度以降、本格的な運用と関連技術の展開を予定している。
新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）、北海道大学、BIPROGY、テクノフェイス（本社：北海道札幌市）の4組織は、触診で得た触覚情報を遠隔地にいる医師と共有する遠隔触診システムを開発した。センサー、5Gネットワーク、触覚情報を診察動画と合わせて転送する技術などにより実現。同システムの下、北海道大学病院（札幌市）、帯広厚生病院（帯広市）、函館中央病院（函館市）の道内3病院を結んだ遠隔触診の実証に成功している（写真1）。
写真1：札幌、帯広、函館の3拠点で実施した遠隔触診実験の様子（左：受信側、中央：送信側、右上：センサーデバイス、右下：触覚再現器）（出典：新エネルギー・産業技術総合開発機構、北海道大学、BIPROGY、テクノフェイス）拡大画像表示
現地の医師がセンサーで取得した触診情報を弾性値と粘性値に変換、診察動画のフレームに埋め込むことで触覚情報と動画の視覚情報を同期する。触診情報を含めた動画コンテンツは、触診位置などを記録したデータベースとして利用できる。遠隔地で動画を受信した医師は逐次、触診情報にアクセスして触覚を能動的に再現できるという。
「ポスト5Gにおいては、サービスの要件に合わせて単一のネットワークを複数のスライスに分けて提供するネットワークスライシングが提案されている。一方で、サービスが要求する性能の判別が難しいという課題がある」（NEDO）
課題を解決するために、今回開発した遠隔触診システムは、画像、音声、触感などのマルチモーダル信号を動画・音声のコーデックに埋め込むことで、ネットワークスライシングの設定を容易にしている。コーデックに関連するパラメータのみで、マルチモーダル信号を含めた動画の送信が可能になった。
●Next：遠隔検診システムの実証実験の内容と結果
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