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Webシステム実行環境「KUSANAGI 9」、Apache httpdとNginxの機能を併用可能に
2024年1月15日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)
プライム・ストラテジーは2024年1月15日、Webシステム実行環境「KUSANAGI 9」において、Apache HTTP Server環境でNginxの機能を利用する動作モード「Apache httpd behind Nginx」を選択できるようにした。同モードでは、Apache httpdを使い続けたままNginxで動的なWebページをキャッシュして高速化する。KUSANAGI 9.4.10-1以上の全エディションで利用できる。
プライム・ストラテジーの「KUSANAGI」は、Webシステムのバックエンドシステムを高速に動作させるための実行環境である(関連記事:Webシステム実行環境「KUSANAGI」無償版、2032年まで長期サポートのAlmaLinux OS 9を選択可能に)。
LinuxとWebサーバー(Nginx、Apache HTTP Server)を中核に、言語、データベース管理システム、CMS(コンテンツ管理システム)などをパッケージ化している。CMS「WordPress」を高速化する用途で使うユーザーが多いが、業務アプリケーションを含めた任意のWebシステムを高速化可能である。
今回、現行版のKUSANAGI 9において、WebサーバーにApache HTTP Server(Apache httpd)を用いたままNginxの機能を利用可能な動作モード「Apache httpd behind Nginx」を選択できるようにした(図1)。
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KUSANAGIではこれまで、Webサーバーとして、ApacheかNginxのいずれか1つを選択する必要があった。Apache使用時にはApacheのメリットが、Nginx使用時はNginxのメリットが得られるが、これらのメリットを同時に得ることはできなかった。今回、Apache、Nginx、Apache behind Nginxの3つの動作モードをコマンド1つで切り替えられるようにした。
新たな動作モードでは、Apache httpdのメリットとして、各ディレクトリに配置する.htaccessファイルを使ってユーザーごとにアクセス権限やリダイレクトを制御可能な利便性が得られる。このうえで、キャッシュによる高速化や流量制御によるDoS攻撃対策といったNginxの機能を同時に得られる。
Apache behind Nginxの動作モードでは、Apacheの前段にNginxを配置する。これまでも同様の構成は一般的だったが、単にNginxをリバースプロキシとして使うだけでは静的ファイルしかキャッシュできない。一方、Apache behind Nginxモードでは、FastCGIを介して外部実行したプログラムが生成した動的ページをキャッシュする。Nginx単体で使った場合と同様、Apacheと組み合わせた環境においてもキャッシュ可能である。
図1の例では、Webアプリケーションの動作環境として、FastCGI経由で動作するPHP実行環境「PHP-FPM(FastCGI Process Manager)」を使っている。この環境でPHPが生成した動的ページを、Apacheと組み合わせた環境においてもNginxでキャッシュできるようにした。