大林組(本社:東京都港区)は2024年2月28日、建築物の構成情報を設計から施工、アフターサービスまで広範囲に一元管理する「建設PLM(製品ライフサイクル管理)システム」構築の取り組みについて発表した。NECのPLMソフトウェア「Obbligato(オブリガート)」を導入して、部門やシステムごとに個別に管理していた情報を統合し、データの整合性を確保し、業務を迅速化・高度化することを目指す。
大林組は、現在の建設業界が抱える課題として、顧客ニーズの多様化・複雑化、専門技術者の減少に備えた技能伝承、時間外労働時間の上限規制などを挙げている。これらの課題を解決すべく、同業界では、建築物の構成情報(注1)を記述・管理し、コンピュータ上で建築物の立体モデルを再現するBIM(Building Information Modeling)を活用した生産性向上の取り組みが進んでいるという。
注1:建築物の構成情報は、設計から積算見積、施工を経てアフターサービスに至る一連の建設プロセスにおいて、予算管理や部材管理などに用いられる情報のこと
「構成情報は業務プロセスを横断して管理されるべきだが、実際は部門やシステムごとに個別に管理され、プロセスを横断した活用が困難だった」(大林組)ことから、BIMを起点に、これまで分断されていた構成情報を統合するシステムとして、建設PLMシステムの開発に着手。狙いとして、データの整合性を確保し、業務を迅速化・高度化することを挙げている(図1)。
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建設PLMシステムの構築にあたって、NECのPLMソフトウェア「Obbligato(オブリガート)」を導入。BIMから抽出した部材情報を同ソフトウェアに格納し、各種マスターと関連づけて建築物の構成情報を一元管理する。こうして、設計からアフターサービスまで広範囲な業務に構成情報を活用できるようにする(関連記事:NEC、PLMソフト「Obbligato」を強化、Slack連携など追加)。
大林組は、今回開発するシステムを、デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略に基づく業務プロセス変革の中核として位置づけている。