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生成AIが電子カルテのデータから入院患者の看護サマリーを自動作成─佐賀県の織田病院

2024年3月29日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

社会医療法人祐愛会織田病院(佐賀県鹿島市)は、臨床現場の業務効率化に向けて生成AI/大規模言語モデル(LLM)のトライアル導入に取り組んでいる。生成AIを用いて、電子カルテシステムのデータを基に入院患者の看護記録の要約文を自動作成する仕組みを構築。個人情報の保護のため、院外との通信が発生しないオンプレミス環境で運用する。同病院と、システム導入・運用を支援するオプティム、シーエスアイが2024年3月29日に発表した。

 佐賀県鹿島市の祐愛会織田病院は、臨床現場の業務効率化に向けて、生成AI/大規模言語モデル(LLM)のトライアル導入に取り組んでいる。

 「医療従事者は、医療行為そのものだけではなく、患者の記録や報告書の作成などの間接的なタスクに直面している。これらのタスクは、医師や看護師など現場スタッフの有限なリソースの一定割合を占めるうえ、場合によっては過度の時間外労働を引き起こすなど負担になっている」(織田病院)

 特に同病院では入退院支援に力を入れており、日々の入退院に伴って多大な文書作成業務が生じているという。そこで、ソフトウェアベンダーのオプティムと電子カルテシステムを提供するシーエスアイの協力の下、生成AI/LLMの活用による業務効率化を検討、生成AIで電子カルテのデータを基に入院患者の看護記録「入退院時看護サマリー」を自動作成する仕組みを構築した(画面1)。

画面1:電子カルテデータを基にした「入退院時看護サマリー」要約画面(出典:祐愛会織田病院、オプティム、シーエスアイ)
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 生成AIシステムには、オンプレミス環境で動作するオプティムの「OPTiM AI」を採用。院外との通信が発生しないオンプレミスで運用することで、患者の個人情報などを保護した状態でシステムを活用できるようにしている。

 文書の要約に加えて、次年度には電子カルテシステムへの入力作業にも生成AIを適用して業務効率化を図る予定である。音声入力への対応と、電子カルテ記載のSOAP(注1)フォーマットに則って構造化するという。このほか、診療情報提供書(紹介状)の作成支援や、用途を限定しない汎用的なチャットボットなどの開発も視野に入れている。

注1:SOAPは、電子カルテシステムで診療情報を記載するための標準フォーマット。Subject(主観的情報)、Object(客観的情報)、Assessment(評価)、Plan(計画)の頭文字をとっている。

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