[市場動向]

性能2倍、ランサムウェア検知精度99%超─ネットアップがストレージの性能/機能強化を説明

RAG構成のAIシステムを構築するためのツールキットを公開

2024年7月30日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ネットアップは2024年7月30日、説明会を開き、2024年に実施した製品アップデートの内容を説明した。性能、セキュリティ、AIの3つのポイントを挙げ、それぞれのアップデートについて紹介した。性能面では、オールフラッシュストレージ「NetApp AFF Aシリーズ」のラインアップを刷新し、性能が2倍に向上したという。セキュリティ面では、ランサムウェア攻撃をストレージ上で検出する精度を高め、99%以上の精度でリアルタイムに検出するとしている。

写真1:ネットアップ代表執行役員社長の中島シハブ・ドゥグラ氏(左)と、チーフテクノロジーエバンジェリストの神原豊彦氏(右)
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 説明会の冒頭、ネットアップ代表執行役員社長の中島シハブ・ドゥグラ氏(写真1)は、2023年度の業績のハイライトとして、サブスクリプションサービス「NetApp Keystone」の年間成長率が100%超、クラウドストレージサービスの年間成長率が38%と、好調なビジネスをアピールした。

 同社は2024年に入ってから、複数の製品アップデートを実施している。説明会では、性能、セキュリティ、AIの3つの主要なポイントを挙げ、それぞれのアップデート内容を説明した。

 性能面では、オールフラッシュ構成のSAN/NAS統合ストレージ「NetApp All Flash FAS(AFF)」のうち、TLC SSDを採用して処理速度を重視した「Aシリーズ」のラインアップを刷新し、3モデル(A1K、A90、A70)構成を取っている(図1)。

図1:刷新したオールフラッシュストレージ「NetApp AFF Aシリーズ」の構成と外観(出典:ネットアップ)
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 これまでソフトウェアで実行していた処理をハードウェアにオフロードして高速化したことや、ストレージOSのバージョンアップ(ONTAP 9.15.1)などにより、性能を従来モデル比で2倍に向上し、性能あたりの価格は半分以下になったという。

 新モデルのI/O処理性能は4000万IOPS(1秒に4000万回)で、データ転送速度は1TByte/s。ONTAP 9.15.1ではデータの格納効率も向上し、性能低下なく、同一の物理容量に格納可能なデータ量を従来比1.7倍に高めたとしている。

 セキュリティ面では、ランサムウェア攻撃をストレージ上で検出する精度を高め、「99%以上の精度で攻撃をリアルタイムに検出する」(同社)としている。同機能は、データにおけるビットの並びの特徴から暗号化を検出する仕組みを採用し、人間や運用管理ツールによる正規の暗号化とランサムウェアによる暗号化を区別するという。

 また、WORM(Write Once Read Many:書き換え不能)機能を備えたセカンダリストレージのスナップショットを取得して、ランサムウェアによる不慮の暗号化に備えるデータ保護機能「NetApp ONTAP Cyber Vault Solution」を提供している。スナップショットであることから、バックアップメディアより迅速にデータを復旧できる。セカンダリストレージを遠隔地に設置することで、DR(災害復旧)サイトも構成可能である(図2)。

図2:WORMストレージへのスナップショットによるランサムウェア対策「NetApp ONTAP Cyber Vault Solution」の概要(出典:ネットアップ)
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 AIについては、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)構成の生成AIシステムを構築するためのツールキット「NetApp GenAI Toolkit」をGitHubでプレビュー公開している。UIとなるチャットアプリケーション、RAGのためのLangChain RetrieverとベクトルデータベースのChromaDB、クラウド環境にシステムを展開するためのTerraformモジュールなどを用意している(図3)。

図3:RAG構成AIシステムを構築するためのソフトウェアツールキット「NetApp GenAI Toolkit」の概要(出典:ネットアップ)
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 GPUサーバーとストレージなどで構成する生成AI用途のシステムのほかにも、データベース用途など、用途別にリファレンスアーキテクチャ(参照構成)を用意している。システム管理者は、ウィザードに従ってワンクリックでリファレンスアーキテクチャをクラウド上に展開可能という。

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