日立システムズは2024年10月9日、保守業務に生成AIを適用すると発表した。ファーストステップとして、同社が担っているIT機器の保守業務への適用に着手した。その後のステップでは、日立グループ全体にノウハウを展開するほか、保守ナレッジをサービスとして外部の保守ベンダーに提供する。
日立システムズは、保守業務に生成AIを適用する(図1)。ファーストステップとして2024年10月、同社が担っているIT機器の保守業務への適用に着手した。その後のステップでは、日立グループ全体にノウハウを展開するほか、保守ナレッジをサービスとして外部の保守ベンダーに提供する。

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(1)ステップ1では、日立システムズが担っているIT機器の保守業務に生成AIを適用する。
具体的には、日立システムズの保守エンジニアが持つスマートデバイス内の保守アプリケーションに生成AIを適用する。報告書の自動作成、作業前に手順や危険ポイントを洗い出して一覧化するチェックシートの自動作成、保守現場で起こり得るミス・事故を写真から予測する現地KY(危険予知)の自動化、熟練技術を参照可能な技術サポート、などを実現する。
2024年10月の段階では、報告書の自動作成機能を実装した。2024年度内に、チェックシートの自動生成とKY(危険予知)の自動化を実現する。2025年度内に、AIを活用した技術サポートを実装する。
これにより、熟練技術者の持つノウハウを若手技術者に継承し、品質を底上げする。1カ月あたり1100時間以上の時間削減効果を見込んでいる。IT機器の保守業務における生成AI活用のノウハウも獲得する。
(2)ステップ2では、日立システムズが培った効率化のノウハウを、OT機器などIT機器以外の保守業務を行う日立グループ会社に提供する。
日立グループには、OT機器などIT機器とは異なる保守業務を行うグループ会社がある。それぞれの業界における専門性はあるものの、作業計画の作成や作業の割り振り、報告書作成など、保守業務における共通的な業務が存在している。ここにノウハウを提供する。
今後、社会インフラ分野の設備や機器の保守サービスを手がけている日立パワーソリューションズと連携し、OT機器などIT機器とは異なる保守業務での生成AIの有効性を検証する。
(3)ステップ3では、日立グループ各社の保守業務効率化で獲得したナレッジをマネージドサービスなどと組み合わせ、主に中小の保守ベンダー向けに提供する。