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クボタ、ディーラー向け部品検索システムに性能監視ツールを導入、システム障害を検知/予防

2024年11月1日(金)IT Leaders編集部

農業機械・建設機械メーカーのクボタ(本社:大阪市浪速区)は、ディーラー向けにSaaSで提供する部品検索システムのシステム障害を未然に防ぐため、システム性能監視サービス「New Relic」を導入した。導入後1年間にわたって重大なシステム障害の発生が皆無だという。New Relicが2024年10月31日に発表した。

 クボタは、農業・建設機械・産業用エンジンを扱う「機械事業」と、水道用鉄管・空調設備・水処理プラントなどを扱う「水・環境事業」を120カ国以上で展開している。農業機械のトラクタは、世界の総生産台数が560万台を超え、産業用エンジンは3000万基を突破している。

 製品寿命が比較的長い農業機械・建設機械の中でも、クボタの多くの製品は、長期にわたって使い続けられているという。このため、機械の保守・整備など、製品販売後のアフターサービスは機械事業の中で重要な位置づけにある。

 こうした中でクボタは、農業機械・建設機械のアフターサービスを支えるディーラーに向けたシステムとして、数百万点に及ぶサービス部品を検索・発注可能なサービス部品カタログシステム「Kubota-PAD」を運用、SaaSで提供している。

 Kubota-PADは、世界各国のディーラーなど約4万ユーザーが利用しており、24時間365日の安定稼働のほか、必要なサービス部品を迅速に見つけられることが強く求められている。

性能監視でシステム障害に対処、予防も可能に

 従来のKubota-PADは、サービス部品の検索機能だけを提供するオンプレミス型のシステムだった。2017年にMicrosoft Azureをベースにクラウドサービス化し、現在ではサービス部品の検索だけでなく、外部システムとの連携を通じた在庫情報の確認や発注も行えるようになっている。

 しかし、機能拡張を進める中でシステムの複雑化・データの肥大化が進行し、2022年ごろには、動作性能の低下やシステム障害が発生していた。これらのうち、アプリケーションに起因する障害は、ユーザーからの問い合わせによって発覚するケースがほとんどで、アプリケーションは状況把握ができないことから、障害の発生から検知・対応まで最大で4時間程度の時間を要していた。

 クボタでは、こうした課題を解決するため、2023年7月にシステム性能監視サービス「New Relic」を導入し、アプリケーションの状況を把握できる環境を整えた(画面1)。Kubota-PADの企画・開発を担うカスタマーソリューション管理部、開発パートナー、IT部門の3者間でNew Relicによる観測結果を共有し、障害に3者が協力して対応する体制を確立した。

画面1:SLO(サービスレベル目標)をベースにしたNew Relicのダッシュボード画面(出典:New Relic)
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 例えば、New Relicによる観測によってKubota-PADの障害をリアルタイムに検知し、アラートがIT部門の監視システムに自動で送られ、データベースの再起動といったシステム復旧に必要な措置が即座に講じられるようになった。また、画面の描画速度やデータの検索速度、ユーザーによるサービス部品の発注が正しく行われたかどうかなどの項目をSLO(サービスレベル目標)の指標として設定し、New Relicのダッシュボードを通じて週次でチェックする体制を敷き、サービスレベルを計測している。

 これらの取組みにより、システム障害に対して予防的な対応がとれるようになった。これにより、New Relic導入後1年で、重大なシステム障害は発生していないという。性能改善の観点でも、システムに影響を与えているプログラムを簡単に特定できるようになった。従来は開発パートナーの工数として12人月程度の工数を要していた特定作業を3人月程度に削減できた。

 New Relicは、需要分析や品質保証の面でも効果を発揮している。従来は、受注データのチェックによってサービス部品の需要把握に努めていたが、ディーラーに在庫があれば新規発注はされないため、正確にニーズを汲み取るには不十分だった。

 「New Relic導入後は、閲覧履歴も含めたユーザーログを収集できるようになり、ユーザーの行動を可視化・分析することで、精度高く需要を把握できるようになった」(クボタ)。また、特定の機械に向けたサービス部品が頻繁に閲覧されている場合はその機械の品質に対するクレームが近い将来に起こり得る可能性に備え、先回りして必要な対策を取るなど、品質担保のために優先すべき対応も見極めやすくしている。

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クボタ / 製造 / New Relic / オブザーバビリティ

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