[調査・レポート]
オブザーバビリティの強化がイノベーションやROIに寄与、先進企業は投資の2.6倍の効果─Splunk調査
2024年11月14日(木)IT Leaders編集部
Splunk Services Japanは2024年11月12日、米Splunkが実施した年次グローバル調査レポート「2024年のオブザーバビリティの現状」の日本語版を発表した。オブザーバビリティの強化がイノベーションの推進とROI(投資対効果)の向上につながり、リーダー的組織は投資の2.6倍の効果を得ていることが判明したという。
Splunk Services Japanは、4回目となる年次グローバル調査レポート「State of Observability 2024」の日本語版「2024年のオブザーバビリティの現状」を発表した。調査は2024年5月~6月に、各国の従業員数500人以上の企業・組織を対象に、IT運用担当者、開発者などを合わせて1850人に対して実施した。回答者はオーストラリア、フランス、ドイツ、イタリア、インド、日本、ニュージーランド、シンガポール、英国、米国の10カ国・16業界に及ぶ。
IT環境が複雑化する中で、オブザーバビリティ(Observability:可観測性)がどのような役割を果たしているかを調査している。調査の結果、オブザーバビリティへの取り組みが進んでいる企業・組織は、運用の効率や稼働率などの領域で、投資に対して年間2.6倍の効果を生み出すなど、取り組みが競争上の差別化要因へと進化していることが判明した。
レポートでは、オブザーバビリティの実践レベルを「基本的な可視化」「インサイトの活用」「プロアクティブな対応」「ワークフローの統合」の4段階に分け、回答者の組織をオブザーバビリティ成熟度の4つの段階のいずれかに分類している。内訳は、成熟度が低い順に「ビギナー」(45%)、「成熟度が中程度」(27%)、「成熟度が高い」(17%)、「リーダー」(11%)になった。
アプリケーション障害の特定/復旧スピードが向上
リーダー的組織の68%は「アプリケーションの障害発生から数分または数秒以内に問題を特定できる」と回答しており、特定までのスピードはビギナー組織の2.8倍に上る。また、リーダー的組織が推定するアラートの真陽性率は平均80%以上で、ビギナー組織の54%を大きく上回っている。
「アラートの精度が高ければ確信を持って対応を進められ、誤検知に対して時間を無駄にすることがなくなる。問題の検出精度と対応スピードは大きな差を生む」(Splunk)。別の調査では、ダウンタイムが発生すると顧客ロイヤルティが低下し、企業イメージが低下することも判明しているという。
リーダー的組織が持つスピードの優位性は、ソフトウェア開発の速度にも及ぶとSplunkは指摘する。リーダー的組織の76%はアプリケーションコードの大半をオンデマンドでプッシュしており、ビギナー組織の30%を大幅に上回っている。
また、開発者がイノベーションに費やす時間の割合は、リーダー的組織がビギナー組織より38%上回っている。つまり、リーダー的組織の開発者は、トラブルシューティングやインシデントのトリアージなど、手間のかかる作業に費やす時間が少ないということになる。
OpenTelemetryの導入企業が増加
Splunkの調査では、オブザーバビリティへの取り組みの中で、分散トレース、メトリック、ログテレメトリの収集に用いることができる業界標準のオープンソースライブラリ「OpenTelemetry」を導入する組織が増えている傾向が明らかになった。「OpenTelemetryによって、データをより主体的に管理し、ベンダーロックインを回避できる」(同社)。
運用中のオブザーバビリティツールで、OpenTelemetryが用いられていると回答した組織は58%に上る。リーダー的組織の場合、78%がOpenTelemetryを導入しており、57%はオブザーバビリティのコスト削減を図れたと回答している。
また、OpenTelemetryの導入効果として、全体の72%はより広範なテクノロジーエコシステムを活用できる点を挙げ、65%はデータに対する主導権と所有権の向上を挙げている。
●Next:AIがオブザーバビリティツールを強化、プラットフォームエンジニアリングの採用が進む
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