KDDIとKDDI総合研究所は2025年2月26日、AIとの対話から運用担当者の要求に応じたネットワークを構築・設定・管理するシステムを開発し、検証環境で商用ユースケースを実証したと発表した。運用担当者とAIの自然言語での対話から、ネットワーク制御システムが理解可能なデータ記述言語のNetwork Intentを自動生成する技術と、Network Intentから自律的にトラフィックを制御する技術で構成する。まずは後者について2025年度の商用実装を目指す。
KDDIとKDDI総合研究所は、AIとの対話から運用担当者の要求に応じたネットワークを構築・設定・管理するシステムを開発し、検証環境で実証した。
ネットワークへの要求をネットワーク制御システムが理解可能な、YAMLなどのデータ記述言語であるNetwork Intent形式で生成する技術と、こうして生成したネットワーク要求を実際のネットワーク機器の設定に変換する技術を開発した。まずは後者のネットワーク機器の設定を生成する技術について、2025年度の商用実装を目指す（図1）。
図1：KDDIとKDDI総合研究所が開発・実証した、自然言語による要求でネットワーク機器設定を自律的に変更する技術の概要（出典：KDDI、KDDI総合研究所）拡大画像表示
ネットワークへの要求をNetwork Intent形式で生成する技術では、運用担当者の記述から必要な情報が得られない場合に、AIが運用者に対して必要な情報を自然言語の対話形式で質問する。「アプリケーションが利用する帯域幅」などの専門的な質問ではなく「想定するアプリケーション種別は何か」といった、運用担当者にとって分かりやすい質問が可能である。
そのうえで、Network Intent形式で生成したネットワークへの要求を個々のネットワーク機器の設定に変換する技術により、ネットワークの制御において運用担当者が介在する必要がなくなる。個人のノウハウや能力への依存がなくなるとともに、手動での設定作業で発生するエラーのリスクが減るとしている。
実証では、「花火大会に向けたネットワークの増強」「トラフィックの偏りを改善」といった運用担当者の要求を満たすネットワークを、自律的に設定・管理することに成功したという。また、実証を通じて、運用管理負荷が減ることと、ヒューマンエラーの回避が可能であることを確認している。
「ネットワークの構築・保守に必要な知見の多くが運用者に依存している。ネットワークの複雑化や、多くの人が集まるイベントの増加に伴い、個々のネットワーク機器に個別の設定を投入するといった人手での対応に限界が生じている」（KDDI）
