ELYZAは2025年9月9日、生成AIアプリケーション開発・利用クラウドサービス「ELYZA Works」を提供開始した。開発したいアプリの内容を自然文で指示するだけで、問い合わせへの自動対応などの仕組みを持つアプリを構築してくれる。料金(税別)は開発・利用ライセンスが1ユーザー月額2980円、利用専用が1ユーザー月額980円。
ELYZA(イライザ)の「ELYZA Works」は、生成AIを用いるアプリケーションを自然文の指示だけで開発可能なクラウドサービスである。特定の問い合わせに自動対応するボットのような、AIによる業務処理の仕組みを持つアプリを現場の社員みずから、開発者に依頼することなく開発して利用できる。

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画面1は、出張関連の質問に自動で回答するアプリの例である。このような入力項目があるフォーム形式のアプリを開発できる。使い方がすぐに分かるので、ITに不慣れなエンドユーザーにも提供しやすい。
社内に蓄積された専門知識などのデータをナレッジにして生成AI/LLM(大規模言語モデル)の回答に反映させるRAG(検索拡張生成)構成をとることが可能で、そのためのデータベースをクラウド上に構築する。ELYZAは今後、データベース以外の場所にあるデータにアクセスする仕組みや、社内システムにELYZA Worksを組み込んで呼び出すためのAPIを提供する。

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図1は、先行ユーザー企業が作成したアプリの例である。社員の勤務状況から36協定違反のリスクを報告する人事アプリの場合、1年で120時間を削減する見込み。また、事前申請と支払記録の不一致を報告する経理アプリは1年で360時間を、営業ナレッジのFAQアプリは1年で600時間をそれぞれ削減する見込みという。

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ELYZA Worksを提供する背景について、同社代表取締役CEOの曽根岡侑也氏(写真1)は次のように説明した。「生成AIは普及しているとは言えない。95%の企業は未導入、ないしは導入はしているものの十分に活用できていない。環境を整備することで、生成AIを活用するワーカーが増えて、業務の生産性が高まっていく」
ELYZA Worksの料金(税別)は、アプリの開発・利用が可能なライセンスが1ユーザー月額2980円、利用専用ライセンスが1ユーザー月額980円。
ELYZAは今後、同サービスの拡張を進める。まず、研究開発部門が開発したAIエージェントを逐次実装していく予定。また、外部システムとの連携を強化するとし、例えば、MCP(Model Context Protocol)経由で各データソースやシステムと連携できるようにする。
同社は、LLMの開発などに加えて、ユーザー各社のITコンサルティング/SIサービスも手がけている。今後は、ELYZA Worksのようなプロダクトの開発・販売にも力を入れていく。そのための組織としてAIプロダクト事業部を設立したという。