元々、建設土木系の技術者だった筆者は、21世紀になって情報システム分野にどっぷり関わりをもつようになった。以来、情報システムの醍醐味や面白さを味わいながらも、何か変だな? と感じることも多い。この「何か変?」を追求し、是正勧告をするのが本コラムの趣旨である。是正勧告というと少し仰々しいが、具合の悪いところを改めるように説き勧めることであって、決して批評や批判ではない。あくまでも前向きの提言である。是正しなければ無駄も多く、せっかくのテクノロジーが活かされない。それは産業力を弱め、ひいては国力を弱めることになる。こういう思いに至るのは、学生時代に培われた改革スピリットが私を突き動かすようである。
ITとISは明確に異なる
今では「経営とIT」とか「IT戦略」とか何の違和感もなく使われている「IT=Information Technology(情報技術)」という言葉は、使われだしてまだ10年くらいだろう。2000年12月にガートナー・ジャパンが出版した「ITトレンド」のまえがきには、『いつのころからか、マスコミにITという妖怪が登場した。そして、もしかすると自分の職場にもITがやってくるかもしれないという危惧を、多くのビジネスマンが抱いている…』と書き出されている。
ハマーとチャンピーの共著「リエンジニアリング革命(原題:Reengineering The Corporation〜A Manifesto for Business Revolution)」が日本に紹介された1993年には、ITというような言い方はされていなかった。普通に「情報技術」と言われていた。2005年頃にはITは「ICT=Information and Communication Technology(情報通信技術)」という言い方で読み替えられ盛んに使われるようになり、無機質な感じからより使い手の論理に近づいたようでもある。
しかしこの言葉の使い方には何か変? が感じられる。ITにしろICTにしろ、その本質は技術である。実際に利活用されるものは、「IS=Information System(情報システム)」である。ISの要素はICTで構成されているが、ITやICTのままで経営や事業に活用できる仕組みになるわけではない。「ITだってISだって、意味は伝わるからいいじゃないか」と思えるかも知れないが、この違いにこだわることが実は重要なのだ。ITの陰にISが隠れてしまっている。
●Next:基幹システムの「基幹」とは何を指す?
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >
- 韓国に訪れてデジタル社会を再認識、日本の遅れを考察する(2024/03/28)
- IT関連の紛争にも有用、裁判に代わる紛争解決手段「ADR」活用のすすめ(2024/02/29)
- オーガニック農産物について考える(2024/02/08)
- 中小企業のDXを推進すれば、日本の復活につながる!(2023/12/28)
- 気にしながらも、実はよくわからない食品添加物問題(2023/12/01)
-
-
-
-
Gemini搭載でGoogle CloudのAIプラットフォーム「Vertex AI」が大幅アップデート。企業の生成AI活用に不可欠なデータマネジメントとは
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
大型化、狭額縁化だけじゃないモニターの進化! “機能”と“信頼性”を両輪に差別化を推し進めるレノボの「ThinkVision」
-
WalkMeが2023年のデジタルアダプションアワードを発表。「えきねっと」におけるUX向上事例など、ユーザー間でノウハウを共有するイベントを開催
-
-
Lenovo Tech World Japan 2023 特別対談「レノボ×マイクロソフト」が語る生成AI活用の“現在地”と“近未来”
-
-
-
あらゆるユーザーにAI活用を!「Lenovo Tech World Japan」で提示される企業コンピューティングの近未来像とは?
-
-
-
-
-
-
-