[事例ニュース]
NEC、デジタルアダプション「Pendo」を営業/人事システムに適用、画面操作時間を3割削減
2025年9月17日(水)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)
NECは、デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)「Pendo」を導入し、業務システムの操作性を改善した。まず、商談から受注までの営業プロセスを標準化し、画面操作時間を30%削減した。また、ジョブ型人事制度のために導入した人事システムの操作性を高め、マニュアルの検索やヘルプデスクへの問い合わせに要する時間を半年間で約2500時間削減した。Pendo.io Japanが2025年9月17日に発表した。
NECは、アプリケーションの操作支援と利用定着を行うデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)を自社の業務システムに導入した。
導入したDAPはPendo.io Japanの「Pendo」。NECは2022年8月から顧客企業にPendoを販売している。今回、社内の業務システムと人事システムにPendoを適用して効果を検証した(関連記事:NEC、パーソナライズした操作ガイドをアプリケーション画面に表示する「Pendo」を販売)。
NECの営業システムは、商談機会発生から受注までの業務プロセスを標準化して新規に構築したもの。日々使うエンドユーザーの営業担当者にとって操作が難しく、作成したマニュアルはページ数が多く参照性が悪かったという。リリース後から問い合わせが多発しており、Pendoの適用対象となった。
Pendoの操作ガイド機能を用いて、営業システムの操作画面でクリックするとガイドを表示する「バッジ」を約70個作成。ユーザーからは「ガイド表示が邪魔」という声もあり、一度表示したら以降は非表示にする設定を施している。
管理者がユーザーの業務実態を正確に把握するため、Pendoに備わるタスクマイニング機能を活用している。営業システムのUIにおける操作履歴に基づいて各人の行動フローやつまずき箇所を捉え、作業時間を可視化している。
ある画面における正しい操作を定義し、ユーザーがどのぐらい正しい操作を行っているかのパス(経路)分析を実施したところ、全体の30%が正しい操作から外れていることが判明という。理由を分析して、正しい操作に導けるようガイドを設定した。
「Pendoによって、特に滞在時間が長い画面が3つあり、それらは画面自体の設計に問題があることがわかった。操作ガイドによる改善に加えて、システムの改修を行った結果、6カ月で平均30%以上滞在時間が短くなった」(NEC)
NECは、操作ガイドに加えて、Pendoのリソースセンター機能を活用し、ユーザーが、マニュアル、新機能のお知らせ、関連ツール、FAQなどにすぐにアクセスできるように整備した。情報への導線を改善したことで、年間で615.6時間の業務削減効果を試算している。
4万8000人が使う人事システムの利用定着を図る
もう一方の人事システムは、NECがジョブ型人事制度施行のために新規に導入したSaaSで、グループ社員を含む約4万8000人が利用する。大量のエンドユーザーに新しいシステムを浸透させるためにPendoを適用した。
トライアル導入では、Pendoのガイドあり/なしを比較するA/Bテストを実施。ガイドありのほうが操作時間が30~50%少ないという結果になった。
営業システムと同様、リソースセンター機能を活用している。画面上に「?」マークを置き、クリックするとマニュアルへのアクセスを示すようにした。6カ月間で約6万件のアクセスがあり、約2500時間の削減効果を見込んでいる。
SaaSに新機能が追加された際、多くの問い合わせが予想される項目を約20個リストアップし、事前にガイドを作成しておくようにした。ユーザー自身の検索やヘルプデスクへの問い合わせ対応にようする手間を省くことで、2~3カ月で500~600時間の削減効果が得られたという。
人事システムの利用定着効果を実感している。NECによると、これまでは退職者向けの手続きを案内しても気付いてもらえず、情報の登録率は85%程度だったという。Pendo導入後は登録率が98%に改善、年500~600人規模の退職者がいる大規模な組織に、大きな効果をもたらしている。
これらのほか、SaaSのシステム障害対策にもDAPを役立てている。人事担当者がPendoのガイド機能で「障害発生中」のアラートをユーザーの画面に表示することで、混乱や問い合わせを防ぎ、約50時間分のサポート対応業務の発生を回避したという。