富士通は2010年3月11日、アプリケーション開発ツール群の新ブランド「INTARFRM」(インターフォーム)を発表した。従来の4種類のブランドを統合/集約し、強化した。開発標準/ドキュメント、設計ツール、開発ツール/ライブラリ、テスト・ツールなど、開発ライフサイクル全般をカバーする。4月1日から順次出荷する。販売目標は、2010年度末(2011年3月末)までに5000ライセンス。
INTARFRMは、Javaまたは.NET環境の上で動作する業務アプリケーションを設計/開発/維持するための、広義の開発フレームワークである。ソフトウエア機能群と各種ドキュメント、サポート・サービスなどで構成する。Web型やC/S型リッチ・クライアントなど各種のアーキテクチャを対象に、主として画面の設計/実装やDBアクセスなどの機能開発を容易にする。
以下の従来製品4つを統合/集約して強化した。(1)「QuiQpro」(ColdFusion/Java/.NET向け。富士通システムソリューションズが開発)。(2)「eProad」(.NET向け。富士通関西システムズが開発)。(3)「EZDeveloper」(J2EE、COBOL向け。富士通が開発)。(4)「Client J Framework」(Java Applet/Ajax向け。富士通が開発)。
新ブランドとなったINTARFRMは、全体で約15種類の製品メニューで構成。4月1日に中核製品を出荷した後、2011年にかけて付加機能を順次出荷する。
4月1日には、設計リポジトリに加えて、開発/実行環境(Java Servlet開発向けおよびC#による.NET開発向け)を出荷する。2011年4月には、上流である要件定義と連携させる機能を出荷する。要件定義の変更を設計情報/設計書に反映したり、ソース・コードを自動生成するといった運用が可能になる。また、EJB(Enterprise JavaBeans)開発版などを出荷する。2010年10月にはWindows Azure対応版を出荷し、2011年度中に開発環境そのものをクラウド経由で提供する。また、COBOL版の開発/実行環境も出荷する。
4月1日に出荷する代表的な製品の名称と価格は以下の通り。
(a)「INTARFRM Design Facility」は、リポジトリとなる設計ツール。価格は10万円(税別)。(b)「INTARFRM Development Facility」は、開発ツール。Webアプリケーション開発用途には、Servlet開発向けと.NET開発向けの2種類があり、価格はいずれも10万円(税別)。C/S(Smart Slient)開発用途には、.NET開発向け版があり、価格は12万円(税別)。(c)「INTARFRM Runtime」は実行環境。Webアプリ用途2種類(Servlet/.NET)およびC/S用途1種類(.NET)ともに価格は30万円(税別)。
クラウド経由で提供する開発環境のことを「AaaS」(Application framework as a Service)と呼び、新たなクラウド・サービスの姿と位置付けるのは、富士通でアプリケーションフレームワーク統合推進室長を務める合田治彦氏。氏は、主にWebアプリケーション・サーバー環境や周辺ミドルウエアを提供している現在のPaaS(Platform as a Service)と異なり、要件定義/設計など開発プロジェクトに必要な機能一式をクラウドで提供する時代になると予測する。