日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2010年9月28日、ハイエンドSANストレージの新機種「HP StorageWorks P9500ディスクアレイ」を販売開始した。既存の「XPファミリ」(「XP20000」と「XP24000」)の後継に位置し、新たに「P9000ファミリ」を名乗る。価格は、最小構成時に税込みで3280万2000円(税別で3124万円)。開発会社は、米Hewlett-Packard。
P9500は、同社製のハイエンドSANストレージである。ホスト接続インタフェースは、FibreChannel(FC)およびFICON(メインフレーム接続用)。シン・プロビジョニング機能やストレージ階層化機能など、SANストレージにとって一般的な機能を一通り提供する。
新機種のP9500では、新機能として、QoS機能と動的階層化機能を追加した。さらに、既存機種のXP24000と比べて、設置面積や消費電力を改善した。また、管理GUIを改善した(例えば、XP24000で43クリック必要だった、論理ボリュームの割り当てとマッピング処理が、16クリックで終わるようになった)。
ストレージI/OのQoS(優先制御)を可能に
P9500で新たに追加した機能の1つは、ストレージI/O処理のQoS機能である。特定の業務アプリケーションやバックアップ処理、夜間のバッチ処理など、ストレージを利用する用途ごとにI/O処理の優先度を変えて運用できる。
QoS機能は、専用ソフト「HP StorageWorks P9000 Application Performance Extender」(APEX)と組み合わせて利用する。APEXは、ストレージを利用するホスト側で動作し、I/O処理のコマンドのヘッダー部に優先度(16段階)を付加する。これを受けたP9500ストレージ側で、優先度に応じてI/O処理のリソースを割り当てる。
APEXは、個々のホスト上で動作するエージェントと、エージェントのポリシーを一元管理/制御するサーバー・ソフトで構成。エージェントは、HP-UX向け、Linux向け、Windows向けの3種類を用意する。Linux向けとWindows向けはホストごとの単位で優先度を制御するが、HP-UX向けではアプリケーションごとに優先度を設定できる(HP-UX標準のプロセス管理機能「Process Resource Manager」で定義するプロセス・グループの単位で設定可能)。
自動階層化と、シン・プロビジョニングの強化
P9500で新たに追加したもう1つの機能は、異なるドライブが混在した環境で自動的にストレージ階層化を図る機能「Smart Tiers」である。データを、管理用の細かい単位(セクションと呼ぶ)に分割し、セクションの利用頻度(I/O数)に応じて適切な階層へ格納、ストレージ運用中に動的に階層間で移動する。
P9500ではまた、シン・プロビジョニング機能を強化し、シン・プロビジョニングに求められる大方の機能を提供できるようにした。具体的には、これまで提供できていなかった機能として、消去データ部分に割り当て済みの領域を再利用できるようにしたほか、ディスクの追加時や削減時にバランスよくデータを再配置するようにした。
設置面積を34%減、消費電力を40%減
P9500では、既存のXP24000と比べて、設置面積や消費電力を改善した。設置面積は、1000ディスク搭載時に34%減る。具体的には、XP24000の場合は5ラックを要し、P9500の場合は3ラックで済む。消費電力は、コントローラ・ユニット1台の場合の最大構成時で40%減る。具体的には、XP24000の場合はラック5台(1152ディスク)で33.1kVAとなり、P9500の場合はラック3台(ディスク1024台)で19.9kVAとなる。
主なハードウエア仕様は以下の通り。きょう体は、19インチ・ラック型で、1~6ラック構成で利用する。コントローラ・ユニット(ラック)は、標準1台で、最大2台までスケール・アップできる。ディスク拡張用ユニット(ラック)は、最小0台から最大4台で利用する。
ドライブは、2.5インチSASで、最小5~最大2048基(コントローラ・ユニットは最大256基、ディスク拡張用ユニットは最大384基を搭載)。SSD、高速SASディスク、低速SASディスクを混在させられる。ストレージ物理容量は、最大1.030ペタ・バイト。外部ストレージ利用時の仮想論理容量は、最大255ペタ・バイト。