米IBMは2011年10月25日(現地時間)、社長兼CEOとしてバージニア・ロメッティ氏の任命を発表した。2012年1月1日付で就任する。これまでトップとして同社を率いてきたサミュエル・パルミサーノ氏は会長職に就く。6月に創業100周年を迎えたIBMの歴史の中で、女性CEOは初となる。
ロメッティ氏がIBMに入社したのは1981年のこと。システムエンジニアからスタートし、金融サービス部門などのゼネラルマネジャーなどを歴任。コンサルティング事業の立ち上げで頭角を現し、直近では、上級副社長としてセールスマーケティング・戦略グループを率いるなど、順当にキャリアを重ねてきた人物である。
ダウンサイジングの波で曲がり角に立ったIBMの立て直しを図ったルイ・ガースナー氏。M&Aや事業売却で自らに大鉈を振るったパルミサーノ氏。2人のCEOが陣頭指揮を執ってきた改革路線を、ロメッティ氏が引き継ぐこととなる。
歴代CEOが60歳を機にトップの座を譲ってきたことから、今回の交代も以前から広く予想されていた(パルミサーノ氏は今年60歳を迎えた)。その点では、リーダーシップの円滑なバトンタッチととらえられる。
好対照なのが米HPのCEO交代だ。同社の取締役会は9月22日、レオ・アポテカCEOを事実上更迭し、後任にメグ・ホイットマン氏を指名した。同氏はネットオークションを手がけるeBayで長年にわたりCEOを務めてきた実績を持ち、IT業界では名が知れる女性経営者の1人である。
このところのHPは突然のCEO交代劇が続いている。カーリー・フィオリーナ氏の後を継いだマーク・ハード氏が“不適切な行動”を理由に座を追われたのは2010年8月のこと。次いでアポテカ氏が経営の指揮を執ることとなったが、あまりに大胆な改革などで求心力が低迷し、今回の人事に結び付いた模様だ。
クラウド技術の進展、サービス指向の加速、ハードのコモディティ化…。いろいろな意味でITの大海では潮目が変わろうとしている。あまりに変化の激しい中で、2人の女性CEOはどのような舵取りを見せるのか。その手腕に世界が注目している。