EMCジャパンは7月5日、プロセサやストレージ、ネットワーク、それに仮想化ソフトなどからなる”インフラストラクチャ”を発表した。
分かりにくい発表内容だが理由はある。そしてユーザー企業は知っておく価値があるかも知れない――EMCジャパンは7月5日、プロセサやストレージ、ネットワーク、それに仮想化ソフトなどからなる”インフラストラクチャ”を発表した。「VSPEX」と呼ぶ製品がそれで、実のところ見た目も内容もブレードサーバーそのもの(写真)。そう見なせばEMCとしては初のサーバー製品。だが同社はVSPEXをサーバーではなく、インフラストラクチャまたはリファレンス・アーキテクチャであると位置づけている。
VSPEXは①EMCのストレージ・システムとバックアップ製品、②ブロケードまたはシスコシステムズのネットワーク機器、③インテルまたはシスコのサーバーブレード(CPU)、それに④シトリックス、マイクロソフト、VMwareの仮想ソフトウェアを組み合わせてサーバーを構成する。サーバと呼ばない理由の1つが、この組み合わせによる構成にある。組み合わせが必要なので、VSPEXは完成したサーバーではなくひな形、具体的には「動作検証済みの14タイプのリファレンス・アーキクチャ」というわけだ。
VSPEXの販売を担うのは、EMCのパートナー企業(EMC自身は販売しない)。上記のリファレンス・アーキテクチャを参照しながらサイジングをし、例えば仮想PCを実現する場合はVDIなどのソフトウェアをセットにしてシステムを構成して納品する。その際、EMCが用意する施設「VSPEXラボ」を利用して動作検証もできる。サーバー販売ではなく、このようなパートナー経由のシステム販売をメインにしたことも、サーバーと呼ばない理由の1つである。
もう1つの理由が、ブレード機「UCS」を販売し、事業者向け大規模サーバー「VBLOCK」で協業するシスコとの関係のようだ(これら3つの理由はすべて本誌推定)。EMCが自らサーバーを手がけることになればUCSと競合することになるし、「VBLOCKでは規模が大きすぎるという企業をVSPEXの顧客と想定している」(EMCジャパン)ということから、将来、もしVBLOCKの小型版を出すようなことになれば、EMCとしてはややこしい事態になりかねない。
こんな理由があるにも関わらず、EMCが事実上のサーバー機を発売するのは「パートナー企業との関係を強化し、パートナー経由による自社製品の販売を伸ばす」(EMCジャパン)ため。日本では元々、パートナー経由の販売が7割近いが、本国などでは6割以下。そこで本社主導でパートナー経由を伸ばすことに決め、パートナーが販売する”インフラストラクチャ”を提供することにした。
IBMが4月に世界同時発表したEIS(エキスパート・インテグレーティッド・システム)--実際の製品はPure SystemとPure Application Systemーーは、実際にそうかどうかはともかく「販売パートナー不要」とされる。これとは全く逆のアプローチと言ってもいい。パートナーとして、すでにネットワン、ネットワールドが名乗りを上げているという。コンピュータメーカーであるNECも、EMCとの関係から考えると扱う可能性が高いようだ。
それはさておき、サーバーとして見るとVSPEXはどうか?EMC製だけあって、ストレージに「EMC VNX」と「EMC VNXe」、バックアップ・ツールの「EMC Avamar」や「EMC Data Domain」などを採用。ネットワークやCPUにも実績のある製品を使っている。重要な価格は「個別応談」(EMCジャパン)。だが売れる価格にしないと、パートナーとの関係強化という目的は果たせない。この点を考えると、プライベートクラウドやクライアント仮想化でサーバーを調達する企業は、知っておいた方がいい製品と言える。
なおEMCによると、プライベート・クラウドの基盤としては「VMware vSphere 5.0」または「Microsoft Windows Hyper-V」で50~250台の仮想マシンを稼働。クライアントの仮想化では「VMware View」および「Citrix XenDesktop」で50~2000台の仮想マシンを展開できることを検証済みという。
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