顧客1人ひとりの人生プランに沿ったオーダーメイド型保険商品で知られるソニー生命。創業30周年にあたる2012年に「共創戦略プロジェクト」を展開した同社は、プロジェクトの中核となる営業フロントシステムを刷新。その軌跡をCIO、プロジェクトリーダー、ITマネジャーの3人に聞く。 聞き手は本誌副編集長・川上 潤司、編集委員・河原 潤 Photo:陶山 勉

- 嶋岡 正充 氏
- ソニー生命保険 取締役 執行役員 専務 共創戦略部 商品部 担当 IT戦略本部 所管
- 1978年に共同石油に入社。1984年にソニー・プルデンシャル生命保険(現・ソニー生命保険)に入社し、情報システム部に配属。1991年に情報システム部統括部長。1998年に執行役員就任。2006年より現職。同社における情報化戦略の推進で中心的な役割を担う

- 長谷川 樹生 氏
- ソニー生命保険 共創戦略部 統括部長
- 1987年にソニー生命保険に入社。事務企画、システム企画、営業企画等に携わり、1998年に損害保険会社の設立企画と立ち上げを実施。ソニーでの金融・保険事業企画などを経て、2008年に共創戦略部を組織化し共創プロジェクトのプロジェクトマネージャーを務める

- 壑谷 哲朗 氏
- ソニー生命保険 IT戦略本部 IS開発2部 担当課長
- 1995年にソニー生命保険に入社。新契約システム、顧客管理システム、営業支援システムのシステム構築等に携わる。1998年4月より損害保険事業開始のためのシステム導入および構築のリーダーを務める。2009年10月より共創プロジェクトのIT部門リーダーを務める
共創戦略プロジェクトは“他社との差異化”の集大成
─ プロジェクト名の「共創」には、どんな思いが込められているのですか?
嶋岡:我が社の歴史は、伝統的な生保大手をはじめとした同業他社との差異化の歴史でもあり、共創は言うなれば最新の差異化戦略です。開業当初は、営業担当者の数で市場を押さえる旧来のビジネスモデルに対抗して、保険にまつわる高度な知識・ノウハウをもった“保険のプロ”の育成に力を注ぎました。やがて他社も似たようなことを始めたので、次の差異化として、SFA(Sales Force Automation)の仕組みを構築して、お客様個々人にベストフィットする保険コンサルティングを売りにしました。
長谷川:単なる保険営業職にとどまらない、当社独自の「ライフプランナー」が、お客様の人生プランをお客様と一緒になって考え、創り、歩んでいく、という思いです。現場だけでなく本社の社員も、販売代理店と共にお客様にとっての価値を創り提供していく。そうしたさまざまなかたちの「共に創る」を表しています。
─ そこにITがどう関与しますか?
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 3
- 次へ >
- 「2030年には会社が消滅する」─危機感をバネに、DXに踏み出した日揮HD(2021/02/09)
- “究極の問屋”を目指してデータドリブンに舵を切る─トラスコ中山の独創経営(2020/12/16)
- 治療薬開発と共に、デジタルでも世界の認知症治療をリードする─エーザイ(2020/10/12)
- 社内情報システムの一部にコンテナ基盤を採用─NTTデータの社内IT担当者にその目的や経緯を聞く(2020/09/17)
- なぜ地方の中堅メーカーがDXを軌道に乗せつつあるのか? マイクロソフトや米スラロームと組んだ理由を幹部に聞く(2020/07/09)