長期におよぶデフレ経済から脱却すべく、大胆な金融緩和政策を打ち出したアベノミクス。当座の円安と株高を引き起こして、景気高揚と見紛うムードを作りだしている。確かに為替差益で潤う輸出企業や、株式の取引が活発になった証券会社は好決算だろう。しかし実体経済が良くなったわけでも、国の借金が減ったわけでもない。国内生産が拡大し、雇用が促進されて賃金が上がり、消費が増える好循環からは、程遠い現実がある。
例えば、長期的にみた日本の人口構成。直近の人口動態調査では65歳以上がついに3000万人を超え、ほぼ国民4人に1人の割合になった。15歳未満は過去最低を記録し、65歳以上の半分強の1649万人しかいない。これからの数十年間、総人口、そして15歳から64歳の生産年齢人口の減少が続く。超高齢化社会で国内生産が増えていくことはあり得ない。消費を活性化し、安定成長を維持することは、とても難しい。
海外市場が日本企業の生きる道
このような状況の中で、国内市場だけに頼っていてもどうにもならない。製造業の多くは、新興国の経済成長に伴う需要拡大をターゲットに、市場と生産拠点を求めてグローバル展開を進めている。中小の製造業も例外ではなく、取引先の開拓など海外投資に乗り出している。製造業の海外シフトに伴い、取引関係のある商社や卸売業も連鎖的に海外シフトする。
コンビニやスーパー、専門店など、小売・流通業の海外市場開拓の動きも活発だ。内需型と言われる消費者向けサービス産業でさえも、海外投資と進出が顕著である。タイにはすでに4000社の日本企業が進出していると言われる。JETRO(日本貿易振興機構)の基礎データを見ると、マレーシアに1400社、インドネシアに1300社、フィリピンには1200社ほどの日本企業が進出済みだ。ベトナム、ミャンマー、カンボジア、ラオスなど東南アジア諸国の経済発展への期待は高い
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