[市場動向]

業務システムの開発ツールベンダー13社が共同で「超高速開発コミュニティ」を旗揚げ

2013年8月6日(火)田口 潤(IT Leaders編集部)

システムは「つくる」から「使う」──。多種多様なパッケージやSaaSが提供される今、よく言われることだが、どっこい、作るシーンがなくなったわけではない。パッケージやSaaSは、どの企業にもある標準的な業務には適合しても、そうでない業務も多い。基幹システムの使い勝手を高める周辺システムや、特定の部門だけが使う業務システム、例外処理が少なくない中堅・中小企業のシステムなどがその例である。スマートデバイスの普及などでIT化が広がる中、作るニーズはむしろ増えている。

 こうした分野に向けたシステム開発ツールを提供するベンダー13社が8月6日、共同で「超高速開発コミュニティ(会長:関隆明氏)」という団体を旗揚げした。決して分かりやすいとは言えない各社のツールがどんな用途に適するのか、ツール相互の関係はどうか、どう利用すれば効果的なのかといったことを、個々のベンダーの立場を超えて議論・検証・公開。その上で「ユーザー企業のシステム開発やIT活用に貢献する」(関会長)ことを目的に、今後、セミナーやWebサイトなどを通じて情報発信していく計画だ。

写真1:超高速開発コミュニティに参画した各社の代表

 参加したのは、アイエルアイ総合研究所(StiLL)、アトリス(PEXA)、インフォテリア(ASTERIA)、ウイング(GeneXus)、オープンストリーム(Biz/Browser)、キヤノンソフトウェア(Web Performer)、 ケン・システムコンサルティング(XupperII)、 サピエンス・ジャパン(Sapiens)、ジャスミンソフト(Wagby)、BlueMeme(Outsystems Platform)、フロンテス(STAR-ATT)、マジックソフトウェア・ジャパン(Magic xpa)、ユニバーサル・シェル・プログラミング研究所(ユニケージ開発手法)の13社(かっこ内は各社のツール名称)。

 この中で例えば、StiLLはExcelをベースに業務システムを開発するツールだが、認知されているとは言いがたい。テスト工程を自動化するSTAR-ATTも同様だろう。これを打破するには個別企業だけでは限界があり、それがコミュニティの旗揚げにつながった。上記13社は発起人という位置づけで、今後、趣旨に合う開発ツールベンダーやユーザー企業の参加を促す考えである。

 団体名称の「超高速開発」には、ウォータフォール型のスクラッチ開発に比べて「少なくとも3倍以上の生産性」(ジャスミンソフトの贄良則社長)という意味を込めている。多くはプログラミングをしないことで、製造工程やテスト工程を削減する方法により生産性を高めるアプローチをとる(そうでないものもある)。

 ここで各社のツールの特徴をざっと列挙すると次のようになる。

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