日本IBMは2013年9月11日、x86サーバーの製品ラインナップに、高集積サーバー「IBM NeXtScale」シリーズを追加した。今後、x86サーバー分野では、企業向け「PureSystems」、データセンター事業者向け「NeXtScale」の2シリーズを柱に据える。
IBM NeXtScaleは、省スペースのサーバーを専用筐体に詰め込み、単位面積当たりのCPUコア数を増やした“高集積サーバー”。インテルの最新プロセサ「Xeon E5-2600 v2」を搭載したサーバーを、6Uの専用筐体あたり最大12台、1ラックあたり最大84台格納できる。
主な想定利用者は、データセンター事業者や、サービスプロバイダー。限られたスペースを有効活用し、データセンターあたりのキャパシティを拡張することで、モバイルデバイスやセンサー機器の普及によって増え続けるワークロードを処理できるようにする。
高集積サーバーの分野では、HPの「HP Moonshot System」や、AMDの「SeaMicro SM15000」など、複数ベンダーの競合製品が存在する。後発ベンダーであるIBMは、拡張性や管理性を差異化ポイントとしてアピールする
例えば、ストレージを拡張する「Storage NeX」や、GPUプロセサを「PCI Nex」といった1Uのコンポーネントを追加して、構成を拡張できる。「小さく収めるためには、ハードウェアに制約を設けざるを得ず、他社製品は犠牲を払っている。顧客のニーズに応じて、自由に構成を組み替えられる」(日本IBMの小林泰子 事業部長)。
また、クラウドのインフラを担えるよう関連ソフトとの親和性も高めた。例えば、クラウド構築ソフト「OpenStack」から、ChefやPuppetといったツールを使って、リソースを管理できる。大量サーバーを管理するためのインタフェース「IPMI 2.0」に準拠するほか、NagiosやZABBIXといった運用管理ツールからもコントロールできる。
その他、サーバーの軽量化にも力を入れた。床面の耐荷重が少ないデータセンターでは、ラックに余裕があってもサーバーの数を抑えなければならない場合があるからだ。データセンターの耐荷重が600kgの場合で、54サーバーまで設置できる。
データセンター事業者が大量一括購入する場合なども想定し、ケーブル類の配線や、ラックへの取り付け、動作検証などを済ませた状態で納品するオプションも提供する。「コンテナ型データセンターに詰め込んだ状態で出荷することも可能」(早川哲郎システムズ&テクノロジー・エバンジェリスト)。
出荷開始予定日は、2013年10月28日。価格は最小構成で126万円から。IBMと、IBMのビジネスパートナー経由で販売する。
同日、高密度のストレージを搭載した「System x3650 M4 HD」を始め、System xシリーズの刷新も発表した。主に、インテルの最新プロセサ「Xeon E5-2600 v2」に対応した。