[新製品・サービス]

米ピボタルがアジア圏初の「Innovation Center」をシンガポールに開設、ビッグデータ活用支援を強化

2013年10月22日(火)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

米ピボタルは2013年10月22日、同社の製品/サービスを使った新しいアプリケーションの構築を支援するための拠点となる「Innovation Center」をシンガポールに開設し、報道陣などに公開した。日本を含むアジア太平洋地域で初の拠点になる。シンガポール政府の「IDA(Infocomm Development Authority:情報通信開発庁)」はこの拠点を使い、政府が進めるデータサイエンティスト育成や企業のビッグデータ活用といった各種プログラムを推進する。

 ピボタルのInnovation Centerは、同社が運営するPaaSPlatform as a Service)へのアクセス環境を提供すると同時に、企業などがビッグデータを活用するための具体策を練るためにピボタルのデータサイエンティストと協働するためのスペースや支援サービスを提供するための拠点である。

 開所式に登壇したピボタルのポール・マリッツCEO(最高経営責任者)は、「ビッグデータを前提にITの使い方が従来とは大きく異なってきている。消費者が生成するデータを含め利用できる環境を作り出さなければならない。そのためには技術だけでなく、文化やスキルの見直しも必要だ。このInnovation Centerを媒介に企業のイノベーションを効果的に、かつ素早く実現していきたい」と説明した(写真1)。

写真1:米Pivotal CEOのポール・マリッツ氏

 ビッグデータ活用では、同Centerに常駐するデータサイエンティストあるいは、他地域にいるデータサイエンティストとオンライン環境で対話しながら、どんなデータ活用が、どこまで実現されつつあるのかなどを提示しながら、個々の企業においてビッグデータをどう活用し新たなビジネスモデルを検討していく。

 報道陣などへの公開時には、自動車の走行データなどから信号の切り替えなどを制御し、交通渋滞をなくすための取り組みや、ネット上の書き込みから製品などに対する評判を分析する取り組みのほか、ビッグデータ活用の効果が期待される予防的セキュリティなどを紹介した(写真2)。

写真2Innovation Centerでデモされていたビッグデータ活用による交通渋滞解消に向けた取り組みの画面例

 また開所式では、このInnovation Centerを使ってデータサイエンティスト育成などに取り組むシンガポール政府「IDAInfocomm Development Authority:情報通信開発庁)」のジャクリーン・ポー氏が登壇し、同センターでの人材育成や政府/企業におけるビッグデータ活用を推進していくことを表明した。

 IDAは現在、(1)政府/企業のビッグデータ活用、(2)アナリティクス(分析)人材の育成、(3)データ活用企業とテクノロジ企業の協業によるイノベーション創出、の3つのテーマを掲げ、ビッグデータ活用におけるリーダーシップ獲得に動いている。

 IDA2年前から「Business Analytics Programme Office」を立ち上げ、市民参加型の電子政府作りに取り組むほか、小売業・卸売業に向けたビジネスアナリティクス(BA)のシェアードサービスの提供、米SAS Insituteとの新卒者へのビジネスインテリジェンス(BI/BA教育、専門家が持つスキルやノウハウの企業への移転などに取り組んできた。

 ピボタルのInnovation Centerに対しては、これらに加え、プロトタイプの早期立ち上げや、データサイエンティストやクラウドアーキテクトといった人材のプロジェクトベースでの育成などを期待する(写真3)。

写真3Innvation Centerを活用し、シンガポール政府はデータアナリティクスのリーダーシップ獲得を狙う。左の女性が「IDAInfocomm Development Authority:情報通信開発庁)」のジャクリーン・ポー氏

 20134月に設立されたピボタルは、米EMCと米VMware、および米GEが出資するソフトウェア企業。OSS(オープンソースソフト)のビッグデータ対応プラットフォームのHadoopや、IaaSInfrastructure as a Service)構築用ソフト群のOpenStackPaaS用のCloudFoundryなどをベースに、ビッグデータ活用に向けたPaaS用ソフト群や、新たなアプリケーションを開発するためのアジャイル開発支援サービスなどを提供する。

 20131112日には、CloudFoundryベースのPaaS製品「Pivotal CF」のリリースを予定している。

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米ピボタルがアジア圏初の「Innovation Center」をシンガポールに開設、ビッグデータ活用支援を強化米ピボタルは2013年10月22日、同社の製品/サービスを使った新しいアプリケーションの構築を支援するための拠点となる「Innovation Center」をシンガポールに開設し、報道陣などに公開した。日本を含むアジア太平洋地域で初の拠点になる。シンガポール政府の「IDA(Infocomm Development Authority:情報通信開発庁)」はこの拠点を使い、政府が進めるデータサイエンティスト育成や企業のビッグデータ活用といった各種プログラムを推進する。

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