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[市場動向]

『CMOはCIOの敵か』─プロトコルの違いを乗り越えよ

2013年11月26日(火)山口 邦成

オムニチャネル対応を含め、自社ビジネスへのデジタル活用の巧拙が企業の業績を左右する時代が訪れた。そこでは、CMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)とCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)は、いかに連携すべきか。本稿では、その視点や方向性について解説する。
(山口邦成 アクセンチュア 製造・流通本部 シニア・マネジャー)

 少々誤解を招きかねないタイトルではあるが、そもそもCMO(Chief Marketing Officer:最高マーケティング責任者)とCIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)は敵味方の関係ではないことを冒頭に申し添えておきたい。なお以下では、CMO=マーケティング部門、CIO=IT部門として広義にとらえても構わない。

 CMOとは、マーケティング部門の最高責任者のことである。10年ほど前から主に先進的なグローバル企業が導入し始めたとされる。CMOには、単にマーケティング業務を統括するだけではなく、経営とマーケティングの融合を進め、企業におけるマーケティングROI(投資対効果)を一層高めていくような役割を果たすことが求められる。

CMOとCIOでは“連携”のとらえ方が異なる

 オムニチャネル対応では、多様な顧客接点・チャネルを駆使し、複雑化・あいまい化する顧客ニーズを充足し、顧客との関係性を維持・深化させることを狙う。そのためには、CMOとCIOの連携、すなわちマーケティング部門とIT部門の有機的かつ機能的な連携が不可欠な要素であることは、誰もが疑わないはずだ。

 ところが、米アクセンチュアが2012年に実施した『Accenture Interactive CMO-CIO Insights Survey』では、CMOとCIOがお互いをどう見ているのかについて、興味深い調査結果が得られている。「CIOの77%がCMOとの連携を望んでいる」のに対して、「CMOの56%しかCIOとの連携を望んでいない」という(図5-1)。同調査の対象は、全世界10カ国400人超のCMO/マーケティング担当役員と250人超のCIO/IT担当役員である。

図5-1:CMOとCIOが考えるマーケティングとITの連携の必然性

 別の調査からは、連携における狙いや優先度の違いに双方(両部門)が苦慮している現状がうかがえる(図5-2)。こうした業務連携の狙いや優先度に対する考え方の違いが生じる背景には、誤解を恐れずに言えば、そもそも両者が異なる視点で課題を認識し、日々の業務を遂行しているためである。

図5-2:マーケティングとITが連携すべき項目に対するCMOとCIOのとらえ方の違い

 業務の性質上、どちらかと言えば右脳派の多いマーケティング型人材と左脳派の多いIT型人材では、ものの考え方や仕事の仕方、ひいては“プロトコル(業務上の会話言語)”自体が違うといえる。実際、筆者らが日々接しているCMOやCIOの方々の間でも、しばしばこんなやりとりを耳にすることがある。

CMO:「IT部門にはマーケティング戦略を実行する上で
必要なツールを迅速に提供して欲しい」

CIO:「ビッグデータやアナリティクスといったデジタル化時代におけるトレンドを
IT部門主導・テクノロジドリブンで牽引していきたい」

CMO:「そう言うが、我々が具体的に何かをしようとすると、
IT部門は制約や出来ないことを列挙し、実現までに時間がかかってしまう」

CIO:「マーケティング部門の要望はあいまいだし、
そもそもITのことが何も分かっていない」

 こうしたCMO/CIO双方のフラストレーションが高まりつつある状況を裏付ける調査結果もある。「CMOの36%はIT部門の成果が期待外れのものだと感じている一方、CIOの46%はマーケティング部門が十分なビジネス要件を提示してくれないと感じている」「CMOの10人中3人がIT部門はマーケティング部門を蚊帳の外に置いていて、必要な時間と技術的なリソースを十分に提供してくれていないと感じている」――。

 双方ともが、デジタル時代への対応に向けた連携の必要性を認識しつつも、前述したように“プロトコル”の違いに起因する目の前の現実に対する思いが強く表れた結果だといえるだろう。

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(山口邦成 アクセンチュア 製造・流通本部 シニア・マネジャー)

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