[2020年を見据えた「グローバル企業のIT戦略」]

【第10回】グローバルにみるビジネスモデルの成功条件

2014年8月4日(月)入江 宏志(DACコンサルティング 代表)

2020年を見据えた「グローバル企業のIT戦略」を取り上げる本連載。IT戦略における日本と世界の差異を見極めるための観点として、第1回から第6回までは、クラウドコンピューティングを中心にグローバルトレンドを見てきた。第7回からは、クラウドコンピューティングに並ぶ、もう1つの重要キーワードである「GRC(Governance、Risk、Compliance)」の観点から、グローバルトレンドを見ていく。今回は、GRCのG、すなわちガバナンスの視点からビジネスモデルについて考えてみたい。

 ガバナンス(Governance)には、パフォーマンス向上、事業再編、M&A(Merger & Acquisition:企業の統合・買収)、グローバル経営、新ビジネスやサステナビリティ、すなわち持続継続性も含まれる。当然ながら、これに即したIT戦略やビジネスモデルが必要になる。

 まず、ビジネスモデルを定義してみたい。ビジネスモデルとは、企業が利益を生むための事業の仕組みのことである。そのポイントは3つある。

(1)誰に、どのような価値を提供するか(Who、What)
(2)そのために、どんな業務構造や取引先との関係が必要か(How、When、Why)
(3)どのような販売ルートと価格設定で、どれだけ収益を上げるか(Where、Which、How much)

IT構築のアプローチ方法の原点は経営主導

 コンピュータが出現して以来、ITは(1)ビジネスモデル、(2)アプリケーション、(3)ITインフラの3つの構成要素で成り立っている。これら構成要素のどこに目を付けるかで、ITを構築するためのアプローチは異なってくる。

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