デジタルマーケティング分野でも近年は、ビッグデータ(大規模データ)がトレンドになっている。だが「具体的に何から手をつければよいのか」と悩んでいる担当者も少なくないだろう。今回は、B2C(企業対個人)ビジネスにおけるデータ活用について、どんなデータ取得・活用の方法が考えられるかを紹介する。B2Cエリアでは、スマートフォンを中心としたモバイル利用の活発化という環境変化を第一に考える必要がある。
B2C(企業対個人)ビジネスにおいて、顧客への商品/サービスの提供形態は、(1)リアル店舗や営業接点で獲得・決済するリード獲得型と、(2)Webサイト上で決済するeコマース型とに、大きく2つに分けられる。だが、いずれの提供形態においても、スマートフォンを中心とするモバイルデバイスが普及したことで、商品/サービスの認知から決済までの行動を取り巻く環境が急激に変化している。
図1に示す通り、スマートフォンの普及率は、ここ5年以内に急速に高まっており、PCの普及率に近づく勢いである。
拡大画像表示
加えて、スマートフォンの利用傾向の特徴として、SNS(Social Networking Service)や動画視聴などの利用が、従来のフィーチャーフォンと比べて活発化している(図2)。自宅にあるPCの利用期間までを圧迫している状態であり、人間の活動時間において接触するメディアが大きく変わりつつあるのが現状だ。
拡大画像表示
こうしたスマートフォンの利用状況は、商品/サービス/ブランドが認知されるタイミングや、顕在化以前におけるきっかけ、つまり“行動のトリガー”が多様化しつつあることを意味している。
B2Cビジネスにおける事業成果拡大に向けては、4マス媒体(新聞、雑誌、テレビ、ラジオ)や、外部サイトによる認知だけでなく、SNSから共有される情報やモバイルアプリケーションなど、これらの利用データをいかに活用していくかが鍵になる。では、これら多様化しつつある接点をいかに取得すればよいだろうか。
B2Cにおける決済までの行動とデータ取得のポイント
B2Cビジネスにおいて想定されるユーザー行動と取得可能なデータをまとめたのが図3である。オンライン決済と店舗決済、もしくは電話での決済を保有する消費者向けサービスを想定している。
拡大画像表示
図3を見ると、インターネットを介したオンライン行動のうち、自社のWebサイトでの行動からオンライン決済までは、Web解析ツールで取得・蓄積できることが分かる。
このほか、電話での問い合わせ内容はコールセンターのコール管理から、どの顧客がいつ何を購入したかという購入履歴についてはPOS(Point of sales:販売時点情報管理)やCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)から、それぞれ取得・蓄積できる。
これに対し、モバイルでのオンライン行動に位置するSNSや、決済機能を持っていないモバイルアプリは、いずれも決済から遠い距離に位置し、外部メディアサイトでの回遊行動と同様に、行動の原因や動機すなわち行動のトリガーに位置するメディアになる。
モバイルファースト時代のB2Cデータ取得環境
これらのデータ設計を進めていく際に、重要なヒントになるのが「モバイルファースト」である。「サービスやソフトウェアの開発では、PC版よりもモバイルデバイス版を先行させる」という方針で、Yahoo!のチーフデザインアーキテクトだったルーク・ウロブルスキー氏(Luke Wroblewski)が2009年に提唱した。
日本でも2011年以降、モバイルファーストあるいは、「レスポンシブウェブデザイン」として、同様の話題が散見されるようになった。レスポンシブウェブデザインは、単一ファイルによって複数のデバイスに対応するための可変Webデザインの考え方で、スマートフォンなどへの対応を重視したものだ。
モバイルファーストの潮流は、自社のWebサイトやソフトウェア開発における意味合いが強い。だが、行動トリガーの多様化の観点から見れば、Webサイトのモバイル最適化だけでなく、自社サイトを利用する前のユーザーとのすべての接点、つまり集客についても、モバイルデバイスでの行動が認知接点となることを想定し、モバイル活動のデータ取得環境を整える必要がある(図4)。
拡大画像表示
具体的に、モバイルファースト時代に取り組むべきデータ活用のポイントをまとめると以下の4つのステップになる。
会員登録(無料)が必要です
- 1
- 2
- 次へ >
- IoT時代に向け“肥大化”するデータの活用方法の議論が必要:第5回(2014/12/03)
- ソーシャルメディアマーケティングのデータ活用法:第4回(2014/11/05)
- B2Bビジネスの見込み客情報はオンラインで補う:第2回(2014/09/03)
- デジタルマーケティングを可能にするデータの変遷:第1回(2014/08/06)