システムの「所有から利用へ」という流れの中、多くの企業がクラウドを軸としたIT基盤のグランドデザインをいかに描くべきなのか悩んでいる。有効かつ現実的なアプローチとして着目されるのは、パブリッククラウドと同等の利便性とスピード感を備えたサービス指向/アプリケーション指向のプライベートクラウド環境を構築し、必要に応じてパブリッククラウドとのシームレスな運用によってビジネス要件に応えていくこと。ここにソリューションを提示する、日本マイクロソフト、シスコシステムズ、F5ネットワークスジャパンの動きを追ってみよう。
シスコ&F5とのパートナーシップで洗練度を増すAzure Pack
Windows Azure Packを理想的なプライベートクラウドとして機能させる上で支えとなっているのが、シスコやF5ネットワークスとのパートナーシップだ。
サービス指向、アプリケーション指向のアーキテクチャをハードウェアやネットワークの基盤側から提供するシスコおよびF5ネットワークスと、利用面や運用面からアプローチするマイクロソフトのクラウド戦略が、「上から」「下から」の両方向から合致したことでWindows Azure Packはさらに洗練度を高めているのだ。
具体的には、シスコのACI(Application Centric Infrastructure)が、3社のソリューションを結び付ける。ACIは、いわゆるSDN(Software Defined Network)のコンセプトを拡大するものだ。ファブリックと呼ばれる、スケールアップが容易であり、かつ高い可用性と柔軟性を持つネットワークをベースとしつつ、APIC (Application Policy Infrastructure Controller) とよばれるACIのコントローラを通じてシスコおよびF5ネットワークスをはじめとした各社のファイアウォールやロードバランサー、さらにHyper-Vなどの仮想化環境などとも連携することによって物理や仮想といった形態の違いを超えてネットワークの統合管理を実現する。そしてなんといってもACIという名が示す通り、ネットワークをネットワーク視点で構成管理するのではなく、アプリケーション視点での構成管理を実現しており、アプリケーションが必要とするネットワークデザインをポリシーを組み合わせたプロファイルとして定義することによって、これまでの複雑で設計・構成に時間がかかるというネットワークの課題を根本的に解決することが可能となっている。
畝高 孝雄 氏●シスコシステムズ合同会社 ソリューションズシステムズエンジニアリング データセンターソリューション システムズエンジニア シスコシステムズの畝高孝雄氏(ソリューションズシステムズエンジニアリング データセンターソリューション システムズエンジニア)は、「ACIによって、ネットワークリソースをサービスとして提供することが可能となります。これによりプライベートクラウド上に構成する様々なユーザーの様々なアプリケーションが必要とするネットワークを、必要なときに、必要なだけ、素早く設定することが可能となります。APICとAzure Packとの連携によって、利用者は自分自身で必要とする仮想マシンを素早く展開するだけではなく、その基盤としてどのような構成のネットワークが使用されているのか意識せずに必要とするネットワーク構成を柔軟に定義し、すぐに使い始めることが可能となります」とユーザーにとっての価値を解説する。
さらに、この論理的なネットワークサービスを補完する形で、F5ネットワークスがロードバランサーやADC(Application Delivery Controller)、WAF(Web Application Firewall)といったL4~L7のソリューション、拠点間VPN、NVGRE(Network Virtualization using Generic Routing Encapsulation)ゲートウェイといったソリューションを提供する。
牧田 延大 氏●F5ネットワークスジャパン株式会社 セールスエンジニアリング本部 シニアプリセールスコンサルタント F5ネットワークスジャパン セールスエンジニアリング本部のシニアプリセールスコンサルタントである牧田延大氏は、このように話す。「これまでF5のL4~L7ソリューションをプライベートクラウドに実装する際にネックとなっていた、オーバーレイネットワークとアンダーレイネットワークの“つなぎ”に関する課題が、SCVMMやシスコのACIとの連携によって解決されました。これにより、Windows Azure Pack上で構築・運用するSQL Server & IIS(Internet Information Services)ベースのWebアプリケーション、さらにはExchange Server、SharePoint Serverなどのマイクロソフトアプリケーションの安定性やセキュリティ、パフォーマンスを最大限に高めることができます」。
「マイクロソフト製品で足りない点、弱い点はシスコとF5がしっかりカバーしてくれます」と高添氏が言うように、3社のソリューションの緊密な連携により、ビジネス要求に即応できるプライベートクラウド構築のシナリオを描くことが可能となったのである。
◇ ◇ ◇
詳細については、2015年1月26日に開催されたTech Fielders セミナー 「プライベートクラウドの現実解! Azure Pack & Cisco ACI with F5」において、本稿に登場したキーパーソン3人が講演した際の資料が大いに参考になる。以下から入手できるので、是非、ダウンロードして参照してほしい。
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