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機械学習技術で仮想インフラ全体を最適化―サイオス、IT運用分析ツール「SIOS iQ」を発表

2015年2月6日(金)魯 玉芳(IT Leaders編集部)

サイオステクノロジーは2015年2月2日、機械学習技術を採用したVMware仮想化インフラのITオペレーション分析(IT Operations Analytics:ITOA)ツール「SIOS iQ」を発表した。無料の「SIOS iQ Freeview Edition」を同年2月24日に提供開始する。同Standard Editionは同年第3四半期、同Enterprise Editionは第4四半期に提供する予定である。

 今回発表した SIOS iQの最大の特徴は、機械学習(Machine Learning)を取り入れたことにある。同製品は、VMwareプラットフォームで構築された仮想化基盤を運用する際、アプリケーション、サーバー、ストレージ、ネットワークのそれぞれの稼働パターンをトラッキングし、正常稼働時のパラメータを学習する。そのうえで稼働状況の問題を検出し、アプリケーションのパフォーマンスや効率性、信頼性を改善するための重要情報を提供する仕組みだ。

 SIOS iQの、既存のITOAツールと比べてのアドバンテージとしてサイオスは、使いやすさ、インフラ全体をまたがるビュー、推奨提案の提示という3つの特徴を挙げている。

 まず、使いやすさとは、モバイルデバイスに対応し、直感的なユーザーインタフェースのタッチ操作で扱うことができるといったこと。また、セットアップが簡単で、IT部門の担当者を悩ませる「しきい値」も、SIOS iQでは機械学習の結果に基づき自動で設定される。

 2つ目のインフラ全体をまたがるビューとは、ネットワーク、ストレージ、サーバー、アプリケーションといった各コンポーネントの情報を、個別にではなく、相互的な全体情報として一括表示できることを示している。同製品のダッシュボードは、サーバー(CPU、メモリ)、ストレージ、ネットワークそれぞれのパフォーマンス、効率性、信頼性、キャパシティ情報を一括で表示する。

 3つ目の推奨提案の提示とは、SIOS iQがユーザーの仮想化インフラにまつわる問題を事前に検知し、有効な対策として推奨提案を提示する機能のことである。

 SIOS iQに備わる主な機能として、サイオスは以下も挙げている。

 各種情報の一括表示を行うダッシュボードは、休眠状態にある仮想マシンと削除可能なスナップショットの消費情報を表示し、IT部門の担当者にたいしてコスト削減につながるプランを提案する。

 また、Host Based Caching(HBC)分析と呼ぶ機能も備える。これは、ストレージとネットワークのトラフィック負荷を軽減するために、ホストマシンのSSD(Solid State Disk)のリソースをキャッシュとして適用する機能で、ストレージのパフォーマンスとアプリケーションのレスポンスを大幅に改善するものだという。

 HBC分析機能は、キャッシュの効果でパフォーマンスの向上が見込める仮想マシンの候補を示し、キャッシュ化後の1秒あたりのI/O値と1I/Oあたりの遅延値を予測し、キャッシュサイズとキャッシュブロックサイズの推奨値を提示する。

写真1:説明を行った、サイオステクノロジー 代表取締役社長の喜多伸夫氏

 近年、仮想化の利用が確実に定着しつつあるが、仮想化がかえってインフラの複雑化を招くなど、IT部門の負担が増加する一方となり、SIOS iQ分析ツールのような負担軽減のソリューションが望まれている。

 サイオスはこうした課題を解決していく構えだ。説明を行った同社代表取締役社長の喜多伸夫氏は、次のように語った。「今回のSIOS iQは、ITオペレーションにおける『オートメーションからインテリジェンスへ』を実現する製品の第1弾となるもの。今後、製品ラインを強化して顧客のニーズにこたえていく」

 無料版のSIOS iQ Freeview Editionは物理サーバー1台だけに対応し、機能はダッシュボード情報などの表示だけに限られている。第3、4四半期に提供する同Standard Editionと同Enterprise Editionには、推奨提案機能が追加される予定である。また、対応仮想化プラットフォームはVMwareのみだが、サイオスによると、今後、Hyper-VやKVMへの対応も予定されている。

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