[市場動向]
モバイル/クラウド優位が鮮明な米大手ITベンダーの2015年1〜3月決算、初公開のAWSは前年比50%増の15億6600万ドル
2015年5月6日(水)杉田 悟(IT Leaders編集部)
米大手ITベンダーが2015年1〜3月期の決算を発表した。注目されるのは、Amazon.comが同社のクラウドサービス子会社Amazon Web Services(AWS)の業績を単体で初公開したこと。これまでEC事業ではない「その他売上」から推測するしかなかったAWSの売上高と営業利益が明らかになった。AppleやMicrosoftなども、モバイルやクラウド事業の追い風を受けて売上高を伸ばしている。
Amazon.comは、同社の2015年度第1四半期決算において、AWSのセグメント情報を新たに設け、AWS単体の売上高および営業利益を明らかにした。クラウドビジネスのリーダーであるAWSの2015年第1四半期の売上高は15億6600万ドル、営業利益が2億650万ドルだった。Amazon.com本体の同四半期の売上高は227億1700万ドルだから、AWSの占有率は6.9%になる。
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今回、2013年から(過去1年間の四半期ごと)の売上高/営業利益も併せて開示された。2013年の年間売上高は31億800万ドル、営業利益は6億7300万ドル。2014年は売上高が46億4400億ドル、営業利益は2億6500万ドルだった。Amazon.com全体の売上高は、2013年が744億5200万ドル、2014年は889億8800万ドルだった。AWSが全体に占める割合は、2013年が4.2%、2014年は5.2%になる。2015年第1四半期の6.9%を含め、年々、その比率は確実に上がっている。
Appleは1〜3月機では過去最高の売上高580億ドルを記録
2015年1〜3月、大手ITベンダーが全般的に業績好調な企業が目立つ。中でも際立っているのがApple。iPhone事業が好調で、同社2015年度第2四半期の売上高は580億1000万ドルを達成。第1四半期の745億9900万ドルには及ばなかったものの、第2四半期としては過去最高を記録した。
AppleのiPhone依存度は、ますます高まる傾向にあるようだ。第2四半期にiPhoneは世界で6170万台を販売。その売上高は580億1000万ドルに上り、売上高全体の70%を占める。2014年の全売上高におけるiPhoneの占有率は50%台、2015年第1四半期は68.6%だった。
Microsoftの2015年度第3四半期(1〜3月期)の売上高は、前年同期比6%増の217億2900万ドル、純利益が49億8500万ドルだった。タブレット端末「Surface Pro3」の発売を受けハードウェア事業が同44%増の7億1300万ドルと好調だったほか、「Microsoft Azure」や「Office365」「Dynamics CRM」などのクラウド事業が106%の成長を見せた。通年では63億ドルの売り上げを見込んでいる。
ストレージ大手のEMCは、売上高が前年同期比2%増の56億ドル、純利益が2億9000万ドルだった。主力のストレージ事業では、Cisco SystemsとVMwareとの合弁会社であるVCEのコンバージド製品「Vblock」関連が前年同期比で30%以上増加したほか、新分野の「EMC XtremIO」「EMC Isilon」も成長している。傘下のVMwareも、売上高は同11%増の15億1000万ドルだった、ただ純利益は、モバイル管理製品ベンダーであるAirWatch買収の影響もあり、1%減の1億9600万ドルにとどまった。ライセンス収入は3%増の5億7600万ドルと好調だ。
こうした中、IBMの2015年度第1四半期の売上高は、前年同期比12%減の195億9000万ドル、純利益も2%減の23億2800万ドルという結果になった。減収は実に12四半期連続である。分野別では、ソフトウェア事業が同8%減の52億ドル、ハードウェア事業が同23%減の17億ドルだった。後者は、System X事業をレノボに売却したためで、売却の影響を排除した場合は同30%増となる。今後は、クラウドやビッグデータ、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、モバイルなどの成長分野へのシフトで巻き返しを狙う。
Google、Facebookもモバイル関連で売り上げ伸ばす
ネット関連企業では、Googleが前年同期比12%増の172億5800万ドル、純利益は4%増の35億8600万ドルだった。サイト収入が好調で、14%増の119億320万ドルである。Facebookは、売上高を前年同期比42%増と大きく伸ばしたものの、純利益は20%の大幅減で5億1200万ドルに留まった。R&D費やマーケティング費用が膨らんだためとしている。両企業ともモバイル関連の売り上げが増加している。