大型プラントの建設を手掛ける東洋エンジニアリング。同社は、Windows XPのサポート切れに伴ったマイグレーションプロジェクトを2014年に断行した。短期での完遂に一役買ったのが米LANDESK社の総合IT資産・セキュリティ管理ツール「LANDESK」である。キーパーソンに成功のポイントを聞いた。
東洋エンジニアリングは2013年、Windows XPのサポート切れに伴い、社で保有する2000台以上のPCのOSをWindows XPからWindows 7に移行する社内プロジェクトを立ち上げた。ビジネス上の競争力を「プラントの設計から資器材の調達、建設までのプロジェクトを、定められたコストとスケジュールの制約の中で実行するマネジメント力」と位置付ける同社。今回の移行プロジェクトでは、社内ITを担当するIT企画管理本部のプロジェクトマネジメント力が試されることになった。
プラント建設は海外比率が高いのが特徴で、東洋エンジニアリングも2014年度の売上高ベースで海外比率が8割を超えている。同社では会社標準PC以外の利用を禁止しており、出張の際にもこの標準PCを持っていく規定となっている。そこで、今回の移行プロジェクトでポイントとなったのが、海外に持ち出されたPCのサポートをどうするかということだった。
また、当面必要な約900台について、2014年春をめどにOS移行を終える必要があった。プロジェクト開始時、すでに2013年も半ばを過ぎており、実際に移行に費やせる期間は3カ月ほどである。さらに、通常業務と並行してOS移行を実施しなければならず、残された時間が限られていたため、当時移行プロジェクトのチームリーダーだった時松基氏(IT企画管理本部 情報技術部)は、移行期間を短縮するための新たなツールを導入することにし、2013年9月、Windows 7への移行をターゲットとした提案をベンダー各社に依頼した。
各社から様々なツールが提案されたが、未確定要素が多く技術的な展開が心もとないものや、技術的には問題無いが手作業が多くスケジュール的に厳しいもの、ツール自体のコストは安いがマイグレーションに伴う作業コストが高いなど一長一短があった。その中で、ソフトウェアの配信、パッチの配信、PC設定、プロファイル移行等に関して、自動で設定できる範囲が広くマイグレーションの作業期間を短縮できる、海外にあるPCへのリモートサポートが可能という2つの課題をクリアできた点が決め手となって、SCSKが提案するLANDESKを採用することを決めた。時松氏は「SCSKによるフォローが期待できることも選定理由のひとつになった」としている。
通常業務と並行し、毎週末の作業で900台を3カ月で移行
導入作業が始まったのが、年が明けた2014年1月。約900台のマイグレーションを約3カ月で終えるスケジュールだ。移行対象のPCは、社員が通常業務に使用しているものが多く、ウィークデーに作業を行うと業務に支障が出る。そこでPCが使われていない週末に移行作業を行うことにした。「毎週末を移行作業に充てたことで、SCSKの担当者にもずいぶんとご苦労をかけた」(五井野治香氏)結果、ほぼ見込み通りのスケジュールで予定していたすべてのPCをWindows 7に移行することができた。
このように、当初はマイグレーションツールとして採用したLANDESKだが、実は様々なPC管理機能を搭載している。マイグレーションを終えると情報技術部では「せっかく各PCにインストールしたのだから」と、LANDESKのその他の有用な機能を使い切ることにした。現在は、選定時から見込んでいた機能であるリモートサポートに加え、年4回実施しているPCのパッチ当て作業、PCのキッティング作業などにもLANDESKを活用している。
例えばリモートサポート。IT企画管理本部では社員からのサポート要請に対して、従来は電話での対応が基本だった。音声だけでは伝わりにくいことも多く、埒があかない時にはスタッフが現場に駆け付けることもしばしば。要請した社員にとっては、スタッフが現場に到着するまでは業務にあたることができない。そうした問題を解決しようと、遠隔から対象のPCをコントロールできるリモートサポート機能を活用してみると、多くの場合インシデントを解決できるという大きな改善が見られた。スタッフが現場に駆け付ける回数も激減し、効率的なサポート体制を構築することにつながった。
◇ ◇ ◇
ホワイトペーパー「OS移行作業の自動化で作業工数を大幅削減~LANDESKユーザー事例:東洋エンジニアリング」では、OSマイグレーションにとどまらず、リモートサポートやキッティング作業の効率化で成果を上げている、東洋エンジニアリングの取り組みの全容を紹介している。
業務遂行に欠かせないPCやモバイルデバイス。企業規模が大きくなるほど、それらの数も膨れ上がり、管理の負荷も必然的に高まってしまう。システムライフサイクルに沿って計画的に入れ替える措置、個別に発生する不具合へのサポート、コンプライアンス遵守のためのライセンス管理、セキュリティ対策のためのパッチ当て、要望に応じたアプリケーションの配布…IT部門がやらなければならない作業は枚挙に暇がない。この事例には、業務を抜本から見直すヒントが満載。是非ダウンロードして参考にしてほしい。