米General Electric(GE)と米Microsofは2016年7月11日、産業IoT(Internet of Things:モノのインターネット)分野での協業を発表した。GEの産業向けIoTプラットフォームである「Predix」を、MicrosoftのIaaS「Microsoft Azure」を介して利用できるようにする。
GEの「Predix」は、同社が提唱する産業向けIoT「インダストリアル・インターネット」向けのアプリケーションの開発、導入環境を提供するIoTプラットフォーム。2014年に外部提供を発表しており、すでに米国などでは、製造業におけるIoTプラットフォームの業界標準を取る勢いだ。
今回の発表は、PredixをAzure上で利用できるようにするというものだ。Microsoftがパブリックなクラウドプラットフォームとして提供するAzureには、機械学習や自然言語処理、データアナリティクスなど評価の高い機能が搭載されており、連携が実現すればPredixのユーザーがこれらの機能に自由にアクセス可能になる。
それだけでなく両社は、Predixの産業用データとMicrosoftのビジネスアプリケーションを、Azure上のアプリ開発プラットフォームである「Cortana Intelligence Suite」上で統合できるようにする計画も進めている。
連携予定のMicrosoftのビジネスアプリケーションとしては、クラウドグループウェアの「Office 365」やセルフBIツールの「Power BI」だけでなく、新たに発表した「Dynamics 365」も含まれている。Dynamics 365は、MicrosoftのCRM「Dynamics CRM」とERP「Dynamics AX」を統合し、ひとつのクラウドサービスとして提供するエンタープライズアプリケーション。
GEはこれまでに、データアナリティクスプラットフォームでAmazon Web Servicesと提携したほか、Oracleとは同社のクラウドプラットフォームやERP、SCM(Supply Chain Management)と、Predixの産業用データとの連携を可能にしている。2016年6月には米Hewlett Packard Enterprise(HPE)がPredix対応のコンバージドインフラの開発を発表するなど各界の業界標準を持つ大手ITベンダーとの協業を積極的に進めてきた。今回のMicrosoftとの協業により、製造業向けIoTプラットフォームの業界標準へ更に一歩近付いたといえる。
開発者プレビューは2016年中にリリースされる予定で、2017年第2四半期(4-6月)頃にはAzure上でPredixが利用できるようになる見通しだ。