スイスに拠点を置くIMD(国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)と言えば、世界的に著名な研究機関でありビジネススクールである。そのIMDのドミニク・テュルパン学長が来日し、企業の経営層向けに講演した。テュルパン学長は一体、何を伝えたのか?
日本経済団体連合会(経団連)の有志企業が、日本の成長戦略を推進できる人材の育成を目的に設立したCeFIL (Center For Innovation Leaders)。そのCeFILが2016年5月に発足させた「デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)」については、本誌でもこれまで何度か動きをお伝えしてきた(関連記事1、関連記事2)。
DBICには既に、東京三菱UFJ銀行や三菱商事、ANA(全日本空輸)、コニカミノルタなど30社を超える企業が参加し、経営層や戦略スタッフのための人材育成プログラムや、業種・規模の枠を超えたオープンイノベーションの場を提供する枠組みを整えつつある。2016年9 月中旬には、物理的な施設である「オープンイノベーション・ガーデン」を東京・港区に開設する。
その一環としてDBICは2016年7月中旬、提携先であるスイスIMDのドミニク・テュルパン学長を招聘し、設立記念セミナーを開催した。IMD(国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)は、WEF(世界経済フォーラム)と並んで、世界各国の競争力ランキングを毎年発表する世界的に著名な研究機関であり、ビジネススクールでもある。
"VUCAワールド"の到来
テュルパン氏の講演のテーマは「Leading in The VUCA World:Message to the Top Executives(VUCAワールドを主導する:トップ・エグゼクティブへのメッセージ)。VUCA(ブーカ)は「Volatility」「Uncertainty」「Complexity」「Ambiguity」の頭文字を連ねた造語だ。つまり変化が激しく、不確実で、複雑性に満ち、暖昧性が増している、そんな状況や時代を示す。「英国のEUからの離脱、トランプ氏が大統領候補になったこと・・・。VUCAワールドでは6カ月先のことが分からない。例えば原油価格は、かつてはある程度は予測できたが、今日では専門家でもそうはいかない」とテュルパン学長は話す(図1)。
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