NECは2016年9月2日、顧客1人ひとりの趣味や嗜好といった詳細なプロフィールを高精度に自動推定できる「顧客プロフィール推定技術」を発表した。変化するライフスタイルへの対応や、見逃していた個のニーズの素早い発見とそれらへの施策立案を支援する。
「顧客プロフィール推定技術」は、NECの関係マイニング技術に基づき、基本プロフィールと購買履歴から、顧客1人ひとりの詳細なプロフィールを高精度かつ全自動で推定する。同社のAI(人工知能)技術群である「NEC the WISE」の1つだ。
顧客の基本的なプロフィール情報と購買履歴を入力することで、各顧客の詳細なプロフィール情報の推定結果を出力する。人手による商品へのラベル付け作業などを廃した全自動プロセスであるため、分析時間を短縮できる。同社は、公開データを用いて有効性を検証し、その結果、専門家が3カ月かかる分析を、3日で実施できることを確認したという。
仮説の生成と検証を繰り返し、専門家を上回る推定精度を得られる。商品の購買履歴を参照して顧客1人ひとりの詳細プロフィールの仮説を作り出すAIと、一部の顧客が回答したアンケート結果を参照して仮説の正しさを検証するAIの2つが相互連携し、仮説の生成、検証、仮説生成へのフィードバックというサイクルを高速で繰り返す。これにより、分析者の主観を混入せずに詳細プロフィールを推定していく。
同技術は、商品属性(商品DNA)の推定にも応用できる。例えば、専門家が一部の商品に付けた商品DNAのラベルを用いて、残りの商品の商品DNAを自動で付与することもできる。専門家の作業を削減することで、コストの軽減を図れる。
NECは今後、百貨店やスーパー、コンビニエンスストア、ECサイト、ポイントカードシステム事業者などの小売・流通分野への適用を視野に、同技術の研究開発を進めるとしている。