[ザ・プロジェクト]

広告ビジネス向けのコンタクトセンターシステムを一新し過度なIT部門依存から脱却

ヤフー

2017年7月3日(月)杉田 悟(IT Leaders編集部)

デジタルビジネス時代になり、コンタクトセンターも様変わりしてきた。最近ではAIや音声認識技術を導入して自動化が図られるなど技術的発展は目覚ましい。総合ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフーもコンタクトセンターシステムを一新し、B2B事業の強化に成功している。2017年6月に行われたジェネシス・ジャパンのプライベートイベントで、その取り組みが紹介された。

ヤフーのコンタクトセンター?

 そもそも、ヤフーにコンタクトセンターはあるのか?例えばヤフーショッピングやヤフーオークションなどのコンシューマーを対象としたeコマースサービスに関してはメールで問い合わせを入れるのが一般的で、電話番号での受け付けは行われていない。ヤフーのカスタマーセンターを語った電話番号入りのメールが個人宛に届いたら、ほぼ電話サポート詐欺と考えて良いくらいだ。

 それでは、ヤフーはコンタクトセンターを持っていないのかというと、実は広告ビジネス向けには用意されているのだという。それを担っているのが、MSC(マーケティングソリューションズカンパニー)オペレーション本部だ。インターネットユーザー向けの、主にメールによるサポートを担当しているSR推進統括本部CS本部とは部署違いだ。

MSCオペレーション本部の加茂隆氏

 マーケティングソリューションズカンパニーオペレーション本部の加茂隆本部長によると、「広告ビジネスによるステークホルダーは広告主や広告代理店だけでなく、メディアレップや掲載パートナー、提携パートナーなど沢山いる。その中でコンタクトセンターを活用するのは主に広告主と広告代理店」なのだという。

 広告主は、広告主用のサポートに電話、メール、Webフォーム、チャットという4つのチャネルで連絡を取ることができる。広告代理店は、直接代理店用のサポートに電話あるいはメールで聞くほか、ヤフーの営業を通して聞くこともある。ここまでが「Tier1」。それでも解決できない場合は、社内のプロダクトサポートに問い合わせる(Tier2)、それでもだめなら開発部門が乗り出す(Tier3)ことになる(図1)。

(図1)問い合わせから解決までの流れ
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 それぞれのチャネルごとの対応数と満足度をまとめたのが図2。応答率はいずれも90%を越え、満足度を示すCSスコアも80%を越えている。比較的満足度の高いコンタクトセンターといえる。

(図2)チャネルごとの対応数と満足度
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 ヤフーにおけるコンタクトセンターの役割とは何か。ヤフーの広告ビジネスには、インターネットユーザー、広告主・広告代理店、Yahoo! JAPANという3つのステークホルダーが存在する。

3つのステークホルダーがWin-Win-Winに

 加茂氏は、「この中のいずれか1つが突出して利益を享受するような関係性ではうまくいかない。いずれもが平等に利益を享受できるWin-Win-Winの関係を築くことが重要」としている。コンタクトセンターはYahoo! JAPANの顔として3方良しの関係を担う存在なのだという。

 そのヤフーのコンタクトセンダーだが、3つの課題を抱えていた。

 ①柔軟性の低下。過度にIT部門に依存していたため、「コールデジットの変更、アナウンスの変更などがあるたび、いちいちIT部門にお願いしていた」という。これにより設定変更の柔軟性・利便性が低下していた。

 ②拡張性の低下。社内では多くの複雑なツールが使われているが、それらのツールとコンタクトセンターをつなげるジョイントシステムが存在していなかった。そのため、他のチャネルからの何かしらの情報を、コンタクトせンターに役立てるということができなかった。

 ③先進性の欠如。コンタクトセンター周りのテクノロジーは日々更新され、新しい機能がどんどん出てくる。従来のコンタクトセンターは、そんな目まぐるしく進化するテクノロジーに追随できていなかった。

 そこで新たなコンタクトセンターシステムを導入することになったのだが、システム選定の基準は前の課題を踏まえて、「IT部門に依存せずに利用できるか?」「ヤフーのセキュリティ基準を満たせるか?」「サービスを進化させる機能が揃っているか?」「実績があり、長く付き合えるベンダーか?」の4点。

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