海外ではいつ、どこでテロや天災に巻き込まれるかわからない。言葉の通じない異国でアクシデントに見舞われた時の心細さ。国内でも平成30年7月豪雨、8月末の台風第21号、9月6日の北海道胆振東部地震と度重なる天災で交通機関は麻痺し、帰途の手段を奪われた人々が空港や駅に溢れた。従業員が執務中にこのような事態に見舞われた場合、企業は何ができるのか、何をしてくれるのか。このたび米Concur Technologiesの日本法人コンカーが、危機管理対応の新サービスの発表と併せて、企業の従業員危機管理に関する意識調査の結果を公開した。以下、要旨をお伝えする。
まずは、コンカーが行った「海外出張者の危機管理に関する実態調査」。2018年5月に実施したオンライン調査で、調査対象は出張者として年間の海外出張回数が、2回以上の会社員・公務員310人、出張管理者として海外出張者に対する危機管理担当者302人となっている。
危機管理担当者への設問で、「治安情勢の悪いエリアへの渡航はありますか」という問いに対して「ある」と答えたのが半数以上の54%、「トラブルに巻き込まれる可能性が高まっていると感じますか」に対しては78%が「感じる」と回答している。
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実際に「海外出張者に何らかのトラブルが発生したことがありますか」と聞いたところ「はい」が73%もあった。トラブルの内訳は「飛行遅延/キャンセル」や「病気/けが」というよくあるトラブルがそれぞれ153件、139件で多かったものの、盗難や傷害などの「事件/事故」(97件)や「自然災害」(57件)もそれなりの件数に達している。「テロ」も24件あった。
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一方で、海外出張でトラブル経験を持つ出張者はトラブルに直面した際、42%が「会社からサポートを得られていない」と回答している。
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例えば、出張前の情報提供は管理者の37%が「提供できていない」と感じており、出張中では51%とさらに増えている。災害や危機が発生した時、管理者が出張者の所在を把握できているのは56%で、44%ができていない。災害・危機情報についても53%が把握できていないと答えている。
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つまり、管理者の多くが、トラブル発生時に社員がどこにいるのか、どこで危険が発生しているのかをタイムリーに把握できていないため、適切なサポートが行えていない実態がわかった。
これを受けてコンカーは、米国本社が2017年7月に発表している出張者リスク管理ソリューション「Concur Locate」の日本版を正式リリースすることを発表した。Concur Locateは、出張者の旅程情報と危機情報を管理することで危機管理プロセスを高度化するソリューションだ。
Locateと連携するTriplt Proというツールは、すべての旅行計画、フライト情報などを追跡し、リアルタイムで最新の変更情報などを提供、フライト変更などの手続きも行える。管理者は出張者の旅程情報を把握でき、Locateが取得したリスク情報と照らし合わせることで出張者が危機に直面した可能性を自動検知、数分間でリストの自動作成、安否確認のメッセージング送信までを行う。
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2017年6月のロンドン橋テロ事件、2017年10月の米ラスベガス銃乱射事件ではLocateがLevel4のリスク情報を自動検知、出張者の現在地と照らし合わせてリスクのある従業員を確認、2Wayメッセージングによるコミュニケーションを実施し従業員の安否確認や支援要請への対応を20分以内に行ったという。