大日本印刷(DNP)は2019年1月29日、富士通の協力を得て、情報銀行事業(情報信託機能)の普及に向けて、企業や団体が参画/参加しやすく、生活者の目線に立った安全なシステム基盤の開発・提供を進めると発表した。
現在、個人の同意の下でパーソナルデータの流通を担う「情報銀行」(情報信託機能、情報信託銀行とも呼ばれる)の社会実装に向けて官民連携による様々な取り組みが進んでいる。情報銀行には、生活者が自身のパーソナルデータの利用範囲を管理できるコントローラビリティや提供した情報を追跡できるトレーサビリティが求められている。
情報銀行プロジェクトへの参画/参加を検討する事業者にとっては、サービスを提供するにあたり、各々が高度な情報セキュリティ環境を構築し、各種システムの開発・運用することなどに多大なコストや人的負担が必要となることが課題になっているという。これに対して、大日本印刷(DNP)は、日本IT団体連盟が情報銀行を認定する際に必要とされる、コアとなる基本的な機能を備えたシステム基盤を提供する。富士通は技術面で支援する。
DNPと富士通は、情報銀行に関するシステム開発や実証実験をそれぞれ重ねている。DNPは観光関連や地域サービスなどの領域で実証実験を行い、情報銀行の情報信託に必要となる、生活者やサービス事業者の利用体験(UX)に関する機能設計や運用などの知見を蓄積してきた。
富士通は、高いセキュリティ基準のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service for OSS」と、そのクラウド基盤上で個人情報の管理が行えるPDS(Personal Data Store:個人が自らの意思で自身のデータを蓄積・管理するためのシステム)「Personiumサービス」や、ブロックチェーン技術を活用した安全なデータ流通を可能にする「FUJITSU Intelligent Data Service Virtuora DXデータ流通・利活用サービス」を提供している。
両社は、社会インフラとしての情報銀行のシステム基盤のコア機能の開発を進め、情報銀行事業に参画する企業・団体に対して2019年4月から段階的に提供していく予定だ。また、情報銀行の社会実装を推進していく観点から、生活者にとっての信頼性や安全性、公共性を第一に、必要に応じてほかの企業とも連携を図り、生活者の利便性を高め、情報銀行事業全体の発展につながるように取り組んでいくとしている。