プライム・ストラテジーは2019年7月18日、ユーザーが運営している既存のWebシステムを高速に表示できるようにするサービス「WEXAL モバイル表示高速化サービス」を発表した。オリジナルのWebコンテンツを基に高速表示用のWebコンテンツを変換生成するエンジンソフトウェアを提供するとともに、このエンジンをユーザーのWeb環境に合わせて設定・導入するSIサービスを組み合わせて提供する。価格(税別)は、月額15万円から。販売目標として、今後3年間で185社10億円を掲げる。
プライム・ストラテジーの「WEXAL モバイル表示高速化サービス」は、ユーザーが運営している任意のWebサイトの表示を高速化するサービスである。JavaScriptの最適化による高速化、CSS(スタイルシート)の軽量化、Webブラウザごとに画像形式を変換して軽量化(WebPやJPEG XRなど)といった手法を使う。これにより、Webサイトを利用する顧客やエンドユーザーの体験が高まる。Webページの表示速度の指標である「Google PageSpeed Insights」のスコアが向上するとしている(図1)。
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特徴の1つは、Webシステムのソースコードに改変を加えることなく、高速化の機能を後から追加できること。Webコンテンツを変換生成するエンジンが、オリジナルのWebコンテンツのディレクトリを常時監視し、オリジナルのWebコンテンツを作成・更新したタイミングで、リアルタイムにWebコンテンツを軽量化・最適化する。こうして変換生成したWebコンテンツを、高速表示用のWebコンテンツを格納するディレクトリに格納する。コンテンツ変換エンジンは独立したプロセスとして稼働しており、コマンドによって機能をON/OFFできる。
Webシステムの要件として、同社が販売しているWebサーバー基盤「KUSANAGI」の上位版「Premium Edition」が必要になる。KUSANAGI Premium Editionにコンテンツ変換エンジンが搭載されている。KUSANAGIは、Webシステムのバックエンドシステムを高速に動作させるための実行環境であり、Linux(CentOS)とWebサーバー(Nginx、Apache)を中核に、言語、データベース、CMSなどをパッケージ化して仮想マシンイメージとしている。
コンテンツ変換エンジンと設定・導入SIをセットで提供
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WEXAL モバイル表示高速化サービスでは、KUSANAGI Premium Editionのライセンスを提供するとともに、Webコンテンツ変換エンジンの設定をSIサービスとして提供する。自前で設定ファイルを記述できるユーザーであればKUSANAGI Premium Editionのライセンス(月額5万円程度から)だけでもコンテンツ変換エンジンを利用できる。一方、一般のユーザーには設定が難しいため、SIサービスをセットにしたWEXAL モバイル表示高速化サービスを用意した。
サービスの導入の流れを示している。問い合わせると、まずはプライム・ストラテジーのコンサルタントがユーザーのWebシステムを調査し、調査結果を報告し、課題解決案と見積もり額を提示する。その後に、開発環境でWebサイトを高速化し、問題がないようであれば本番環境でリリースする。
プライムストラテジーの取締役CMO(最高マーケティング責任者)である西牧八千代氏(写真1)は、WEXAL モバイル表示高速化サービスの意義について「全世界のWebサイトを対象に、今どきのユーザー体験を得られるようにする」と説明。米Googleは、ユーザー体験の指標として、コンテンツの中身やセキュリティ(HTTPS接続)に加えてコンテンツの表示速度を重視している。「特にモバイルでの表示速度を重視している。MFI(モバイルファーストインデックス)への対応が重要だ」(西牧氏)という。