[調査・レポート]

在宅勤務の影響でRPAの主用途が「データ転記」へと後戻り─ノークリサーチ

中堅・中小企業でクラウドファーストの兆候、オンプレミスではHCIの導入が増加

2021年1月6日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ノークリサーチは2021年1月6日、中堅・中小企業のIT活用に関する見解を発表した。インフラ基盤、業務アプリケーション、サービスの3つの観点ごとに動向を分析している。例えば、テレワークの影響でRPAの主用途が「データ転記」へと後戻りしている。また、中堅・中小企業でも「クラウドファースト」の兆候があるが、一方でHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)はオンプレミスのデジタル化の基盤になるという。

 ノークリサーチは、中堅・中小企業のIT活用に関する見解を発表した。インフラ基盤、業務アプリケーション、サービスの3つの観点ごとに動向をまとめた。

 インフラ基盤については、まず、中堅・中小企業に対し、サーバー(オンプレミス/クラウド)の導入形態の現状と今後について、2020年の前後3年間の範囲で調査した。過去3年以内と今後3年以内のいずれにおいても、新規導入はクラウドがオンプレミスを上回っている(図1)。

図1:中堅・中小企業におけるサーバー(オンプレミス/クラウド)の導入形態(出典:ノークリサーチ)図1:中堅・中小企業におけるサーバー(オンプレミス/クラウド)の導入形態(出典:ノークリサーチ)
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 今後3年以内におけるクラウドとオンプレミスのポイント差は、過去3年以内と比べて拡大している。「したがって、新規システム構築でクラウドを選択肢に含める割合は今後も増える。大企業だけでなく、中堅・中小企業においてもクラウドファーストに向かう兆候が見られる」(ノークリサーチ)という。

デジタル化の基盤としてHCIの導入が増える

 オンプレミスのサーバー市場では、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)の導入が増えている。同社によると、単なるサーバー仮想化の手段としてだけでなく、新たなストレージ形態として、新規導入においては高い導入意向が見られるという。

 図2は、2020年の前後3年間におけるサーバー導入(オンプレミス/クラウド双方)における課題を、HCIを導入済み/導入予定の場合で比較したものである。「従来、HCIを早期に導入したユーザー企業からは、高い拡張性を持ったサーバー環境をオンプレミスで実現できないことを現状の課題として挙げる声が多く、この解決策としてHCIが選ばれていた」(同社)。

図2:2020年の前後3年間におけるサーバー導入(オンプレミス/クラウド双方)における課題を、HCIを導入済み/導入予定の場合で比較した(出典:ノークリサーチ)図2:2020年の前後3年間におけるサーバー導入(オンプレミス/クラウド双方)における課題を、HCIを導入済み/導入予定の場合で比較した(出典:ノークリサーチ)
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 調査結果からも、「必要な時にデータ容量を増強できない」「必要な時に性能を即座に増強できない」といった項目の回答割合は高く、拡張性の課題を解決する手段として、引き続きHCIが選ばれている状況が見られる。一方で、「サーバー稼働開始までに長い期間を要する」「可用性を高めるための費用負担が大きい」「古いサーバー環境を更新/刷新できない」といった項目における全体との差はさらに大きいという。

 今後は、「シンプルな構成であるため、サーバー環境を迅速に構築できる」「サーバー機器のみによる分散型の構成であるため、可用性を維持するための費用を抑えやすい」「シンプルかつ分散型の構成はサーバー環境の更新/刷新においてもプラスに働く」といったメリットからHCIを選ぶユーザーが増えるとしている。

 「HCIのこうした利点は、新たなビジネスの創造に求められる迅速性や可用性と合致する。依然としてオンプレミスが多いERPを中核に、デジタル化に向けた取り組みが活発となった場合には、HCIの普及が進むと予想できる」(同社)

 なお、ノークリサーチによると、HCIを導入するユーザーが常にオンプレミス環境を選ぶとは限らないという。同社が今後の方針/ニーズを聞いたところ、HCIを選ぶユーザー企業は「今後のアプリケーション開発ではクラウド上の運用を前提とする」や「サーバーレス/PaaSなどサーバーを意識しないシステム構成を選ぶ」の割合が高く、クラウド活用にも意欲的であることが分かる。

●Next:RPAが新規需要を喚起できていない要因

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