[調査・レポート]

2021年度のIT投資は増加基調を維持、38.5%が増加、16.9%が減少と回答─JUAS調査

2021年1月12日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2021年1月12日、2020年9月から10月にかけて実施した「企業IT動向調査2021」(2020年度調査)の結果として、IT予算に関する速報値を発表した。2020年度の企業業績が新型コロナ禍で減少した一方、2021年度のIT予算は増加基調を維持している。調査対象は、東証上場企業と東証上場企業に準じる4508社で、IT部門長に調査依頼状を送付し、Webアンケートで1146社から回答を得た。

 JUASは、2020年9月から10月にかけて「企業IT動向調査2021」(2020年度調査)を実施した。2020年度の企業業績は、新型コロナ禍で減少した。この一方で、2021年度のIT予算は、増加傾向を維持している。全体の38.5%が「増加」、44.7%が「不変」、16.9%が「減少」と回答した(図1)。

図1:IT予算の増減状況(出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会)図1:IT予算の増減状況(出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会)
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 IT予算を「増やす」割合から「減らす」割合を差し引いたDI(ディフュージョン・インデックス)値は、2020年度予測(2019年調査時)の27.5ポイントから2020年度計画(2020年調査時)の18.2ポイントへと減少したが、2021年度予測では21.6ポイントと回復した。

 企業がIT予算を増やす理由は、図2の通り。「デジタル化に向けた対応」と「基幹システムの刷新」が、新型コロナ禍にもよらず、粛々と進んでいる。「コロナ影響による基盤整備」による予算増も、IT予算を増やす大きな要因である。

図2:企業がIT予算を増やす理由(出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会)図2:企業がIT予算を増やす理由(出典:一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会)
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業種グループごとに差はあるがIT投資への意欲は堅調

 2021年度のIT予算の増減を業種グループ別に集計した。2019年度調査時(2020年度予測)と比較すると、全体的にはDI値が減っているが、金融ではDI値が回復している(0.0ポイントから14.9ポイント)。商社・流通(23.5ポイントから22.0ポイント)、機械器具製造(23.0ポイントから20.1ポイント)も、DI値の減少幅はわずかで済んでいる。

 詳細な業種でみると、宿泊・飲食・旅行サービス業(16.7ポイント減)や輸送用機械器具製造業(4.7ポイント減)では、DI値がマイナスに転じている。しかし、繊維工業(42.9ポイント)、電気機械器具製造業(25.0ポイント)、非鉄金属・金属製品製造業(23.6ポイント)、石油・石炭・プラスチック製品製造業(22.2ポイント)、鉄鋼業(18.8ポイント)などの製造業や、運輸業・郵便業(33.3ポイント)、卸売業(25.4ポイント)では、IT予算のDI値は高い水準を維持している。

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