栃木県宇都宮市とNECは2021年3月15日、スマートシティの実現に向けて、顔認証を活用した実証実験を同年3月16日から開始すると発表した。スマートフォンアプリを通じた情報提供による街の回遊促進や、顔認証を活用した非接触での施設入退場と買い物(決済)など、感染症対策に配慮しながら便利で快適な中心市街地の形成につながる「スマートホスピタリティ」の取り組みを検証する。
栃木県宇都宮市とNECは、ビジネスや観光、市内で開催するスポーツイベントなどの目的で来訪した人を対象に、ITを活用したサービスを提供する実証実験を行う。データ活用による中心市街地の活性化を促す。宇都宮市のスマートシティ推進を担うUスマート推進協議会が提唱する「スマートホスピタリティ」を具現化する取り組みとなっている(図1)。
主なテクノロジーとして、スマートフォンアプリや顔認証決済サービスなどを利用する(写真1)。「回遊施策による中心市街地のにぎわいの恒常的な創出」「スマートフォンを活用した広告ビジネスの事業性」「取得したデータの活用」などを検証する。
宇都宮市とNECは主に以下の実証実験を行う。
1. スマートフォンアプリを活用した実証実験(2021年3月16日~4月25日)
宇都宮市の街歩きを手助けするスマートフォンアプリ「お得で愉快だ宇都宮」を公開する。市内のイベントや観光、飲食店の情報を配信するとともに、アプリケーションを通じて会員登録した人を対象に、現地で利用できるクーポンや宇都宮ブレックス(バスケットボールリーグB.LEAGUE所属チーム)のグッズなどが当たる抽選券を配布する。また、市街地回遊を促すミッションをアプリケーション上で提示し、クリアした人に近隣店舗のグルメクーポンを提供する。来訪者の行動・属性推定などのデータを分析して、効果的な集客施策を検討する。
2. 顔認証技術を活用した実証実験(2021年3月下旬~4月25日)
ブレックスアリーナ宇都宮、および市内飲食店で実施する。お得で愉快だ宇都宮アプリを使って本人の顔画像やクレジットカードなどの情報を登録した人を対象に、宇都宮ブレックスの本拠地「ブレックスアリーナ宇都宮」において、顔認証を用いたスムーズな入退場を実施する。宇都宮の中心市街地の店舗6カ所においても、顔認証を使った決済を利用できる。混雑緩和や非接触による来訪者の利便性向上を図る。
顔認証を活用した入退場・キャッシュレス決済や、現地で利用できるクーポンの配布などは、アプリケーション会員向けのサービスであり、会員登録時に個人情報利用規約への同意が必要である。アプリケーションを通じて取得したデータは、個人を特定できないように匿名加工処理を行った上で分析し、中心市街地への誘導や回遊性向上を促す新たなサービスの創出や、課題解決などに限って活用する。