[市場動向]
米IBM、イタリアのプロセスマイニングベンダー「myInvenio」を買収
2021年4月16日(金)河原 潤(IT Leaders編集部)
米IBMは2021年4月15日(米国現地時間)、イタリアのプロセスマイニングツールベンダーであるmyInvenio(マイインヴェニオ)を買収する最終合意に達したと発表した。買収手続きはIBMの2021年会計年度第2四半期末(2021年6月末)に完了する予定で、合意した買収額などは現時点では公表していない。
イタリアの有力プロセスマイニングツール「myInvenio」
米IBMがプロセスマイニング市場に参入する。同社が買収するのは、イタリアのレッジョエミリア(Reggio Emilia)に本拠を置くmyInvenio。プロセスマイニングツールの「myInvenio」をグローバルで提供するソフトウェアベンダーである。経営母体としての社名はCognitive Technologyだが、Webサイトをはじめとした販売・マーケティング活動はmyInvenioの名称で展開している。なお、日本市場では、2019年1月にハートコアと3年間の独占販売代理店契約を締結し、以降、ハートコアがmyInvenioの国内販売を行っている(画面1、関連記事:ハートコアのプロセスマイニングの取り組み)。
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IBMは、myInvenioの買収によって、販売・調達・生産・会計など企業のビジネスプロセスの可視化と再構築を行うためのプロセスマイニングツールを、自社の製品・サービス群に組み込む。
これまでの同社のハイブリッドクラウドおよびAIの戦略を前進させるかたちで、AIを活用したビジネス自動化ポートフォリオ(AI-powered Automation Portfolio for Business Automation)をすべてRed Hat OpenShift上に構築して、IBM Cloud Pak for Business Automationを通じて、ワンストップで顧客に提供するとしている。同ポートフォリオは、プロセスマイニング、RPA、ドキュメントプロセッシング(文書処理)、ワークフロー、意思決定などで構成される。
以前よりIBMはビジネス自動化ポートフォリオの拡充を進めてきた。2020年7月にはブラジルのRPAベンダー、WDG Automationの買収を発表。その後、「WDG Automation RPA」をWatson AIOpsとIBM Cloud Pak for Multicloud Managementと統合し、IBM Cloud Pak for Automationに組み入れている。今回の買収で加わるプロセスマイニングツールのmyInvenioが、ビジネスプロセスの可視化によるボトルネックの特定や改善の提示を担い、自動化すべきプロセスをWDG Automation RPAで自動化する連携が可能になる。
「myInvenioの買収により、IBMは、企業が煩雑なビジネスプロセスを合理化することで、ビジネスプロセスのボトルネックからくるイノベーションの遅延や、コストの増大といった課題を克服していくことを支援していく」(IBM)
IBMは、myInvenioのプロセスマイニングとIBMのAIによる自動化の組み合わせがもたらすメリットを2つの例を示して説明する。1つは、「プロセスマイニングツールを用いることで、例えば、ERPや請求書発行システムのやり取りを調査することで、売掛金プロセスを合理化することができる。また、従業員が請求書を手作業で確認したり、購入要求を監査して異常を発見したりするのに、どのぐらいの時間を費やしているかの実態を把握できるようになる。そこに我々のAIによる自動化が加わることで、より効率性を高めてコストを削減し、従業員はより戦略的な仕事に専念することができる」
もう1つの例は、「(ヘルプデスクやシステム開発などの)ITチケッティングシステム。プロセスマイニングを利用して、最も一般的なITリクエストを明らかにし、AIが回答や解決策の提示を自動化することができる」。
●Next:買収の背景と、「IBM Automation+myInvenio」で可能になること
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