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量子アプリ開発環境のblueqat cloud、Amazon Braket経由で量子コンピュータ実機を使いやすく
2021年5月18日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)
blueqatは2021年5月18日、量子コンピューティングのアプリケーションをWebブラウザ上で開発・実行できるクラウド型開発環境「blueqat cloud」を強化したと発表した。同年4月から利用可能になった「Amazon Braket」を介して、量子コンピュータの実機をクラウドサービスとして容易に使えるようにしている。
blueqat(本社:東京都文京区)の「blueqat cloud」は、量子コンピューティングのアプリケーションをWebブラウザ上で開発・実行するためのクラウド型開発環境である(図1)。blueqatは2008年にMDRの社名で設立した量子コンピュータのクラウドサービスやAIの開発を行う企業で、2020年に現在の社名に変更している。
blueqat cloudでは、Python言語用のライブラリを用意しており、Pythonで量子コンピューティングのアプリケーションを開発できる。また、クラウド上のアプリケーション開発環境としてJupyterLab(Jupyter Notebook)を利用している。
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今回、blueqat cloudで開発するアプリケーション動作環境を強化し、量子コンピュータのシミュレータだけでなく、量子コンピュータの実機を使いやすくしている。具体的には、量子コンピュータの実機をクラウドで提供しているAmazon Braketと連携し、blueqat cloudから利用できるようにした。これまでも各社の量子コンピュータの実機をそれぞれ契約して使うことができていたが、Amazon Braketによって、より利用がしやすくなっている。
Amazon Braketは、量子コンピュータの実機をクラウドサービスとして利用可能にする(関連記事:量子コンピュータをAWSで利用できる「Amazon Braket」、まずは3社のマシンを利用可能)。現状では、3社の量子コンピュータシステムを利用できる。カナダのD-Wave Systemsが開発した量子アニーリングマシン、米IonQが開発した量子ゲート型(イオントラップ型)システム、米Rigetti Computingが開発した量子ゲート型(超電導チップ型)システムである。
blueqat cloudの利用により、量子コンピュータシステムのハードウェアに依存せずにアプリケーションが実行可能になる(図2)。まず、量子ゲート方式アプリケーションを、米IonQと米Rigetti Computingの実機の両方で動作させることを実現している。さらに、量子アニーリング方式アプリケーションを量子ゲート方式のアプリケーションに変換して動作させることも可能にしている。
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●Next:blueqat cloudおよび同サービスでのAmazon Braketの料金体系
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