四国化工機(本社:徳島県板野郡)は2021年7月28日、豆腐生産工場にAIを導入し、品質管理を強化した。割れや欠けのある豆腐を自動で判定して検品するようにした。構築したシステムの名称は「STI-ALPS(Shikokukakoki Tofu Inspection - AI Line Picking System)」で、同年6月から稼働させている。
四国化工機は、主力製品の豆腐の品質向上と増産を目指し、複数のロボット装置や無人搬送のフォークリストを備えた阿南食品工場新棟を新設し、スマートファクトリ化を推進してきた。新棟は、すべての機器の状況を一元管理できるIoTシステムを導入しており、2020年6月から稼働している。
豆腐業界は近年、原材料の値上がりや後継者不足などの理由から、地域密着型の個人商店から、広域流通に対応できる企業へと集約する流れが顕在化している。また、2020年の基準改正により、国内で常温流通が可能になったことで、無菌充填豆腐の製造技術を持つ四国化工機への需要が増加していたという。
今回、四国化工機が構築したAIラインピッキングシステム「STI-ALPS」は、大量の画像データをAIで学習し、良品と不良品の特徴をモデル化している。検品業務を自動化し、製造ラインから不良品を自動的に取り除く。複数のカメラによって、上面、側面、底面に加えて、分割パックの内側も検査できるようにしている。
「以前にも画像検査装置の導入を試みたことがあったが、良品・不良品を判定する項目すべてをルール化して設定する必要があったため、導入が難しかった。豆腐の割れ目やくぼみ、欠けの大きさ、数、深さといった、決まりのない形を設定して判別するのは非常に困難であり、目視による検査が必要だった」(同社)
STI-ALPSの導入により、これまで長年の経験が必要だった検品を自動化できるようになった。さらに、ロボット装置や無人搬送のフォークリフトをSTI-ALPSと連動させることで、不良品を排除して良品を箱詰めし、冷蔵倉庫へ移動する作業を省人化した。例えば、これまで実施していた目視検査は、1ライン3人体制で稼働していたが、無人で稼働させられるようになった。
システムは、日本IBMが構築した。サーバーに、UNIX/オフコンの「IBM Power System AC922/IC922」を採用している。AIの開発環境には、コーディングが不要でWebブラウザ操作だけで開発・実行できる「IBM Maximo Visual Inspection」を使っている。