デロイト トーマツ ミック経済研究所は2022年4月13日、ERPフロント製品・サービスの市場動向を発表した。2021年度の市場規模は前年比122.3%の750億円だった。電子帳簿保存法対応に関連した各種申請のペーパーレス化や大手企業の業務システムのクラウド化などを背景に、2026年度は年平均20.3%増の1892億2000万円に成長する見込みとしている。
デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査によると、経費精算、勤怠・就業、ワークフロー(経費精算/勤怠・就業)、出張管理、プロジェクト・工数の5分野を対象とする国内ERPフロント製品・サービスの2021年度市場規模は、前年比122.3%の750億円だった。
電子帳簿保存法に関連した各種申請のペーパーレス化、大手企業の業務システムのクラウド化、これらを支援するERPフロント製品・サービスの需要が持続的に拡大しているという(図1)。
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「2022年度のERP製品・サービス市場は、2年間の宥恕(ゆうじょ)期間が与えられた電帳法対応の継続的な需要拡大や、多様なワークスタイルへの対応により、前年比122.6%の919億7000万円とさらに増大していく。提供形態としては引き続きクラウドが牽引していく」(同社)。
同社は、目前に迫った2025年問題の対応などを背景に、同市場は2022年度~2026年度まで年平均20.3%増で伸長し、2026年度には1892億2000万円市場に成長すると予測している。
ERPフロント製品・サービス市場のうち、経費精算は2021年度317億8000万円(前年比124.0%)、勤怠・就業は同317億8000万円(前年比123.9%)、ワークフロー(経費精算/勤怠・就業)は同41億4000万円(前年比110.1%)、出張管理は同30億7000万円(前年比105.9%)、プロジェクト・工数管理は同42億7000万円(前年比124.5%)だった。
デロイト トーマツ ミック経済研究所は、分野別のトピックとして以下を挙げている。
- 経費精算:令和3年度税制改正で要件が緩和された電子帳簿保存法対応案件で、経費精算システムの需要が拡大
- 勤怠・就業:働き方改革関連法への対応は一巡したものの、継続的なテレワーク対応需要で順調に伸長
- ワークフロー(経費精算/勤怠・就業):経費精算は電子帳簿保存法への対応、勤怠・就業は多様なワークスタイル対応ニーズで、大手企業でクラウド型の導入が加速
- 出張管理:2020年以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で需要停滞。2021年度はオミクロン株流行による渡航制限で海外出張に打撃
- プロジェクト・工数:テレワーク下における効率的なリソース管理により、クラウドを中心にシステム化の需要拡大
発表された概要は、同社の調査レポート「ペーパーレス&クラウド化で拡大するERPフロントソリューション市場の実態と展望 2022年度版」に基づいている。同レポートでは、対象分野のソフトウェア/サービス提供ベンダー58社への調査を集計し、2020年度~2026年度のERPフロント製品・サービスの市場規模を算出・予測している。