[調査・レポート]

経理・財務でデータ分析・活用に取り組む企業は全体の54%─アルテリックス・日本CFO協会調査

「財務マネジメント・サーベイデータ駆動型のCFO機能に向けた現状と課題」より

2022年6月21日(火)神 幸葉(IT Leaders編集部)

米Alteryxの日本法人、アルテリックス・ジャパンと日本CFO協会は2022年6月16日、CFOや経理・財務部門の幹部を対象にした、データの収集・分析・活用に関する調査の結果を発表した。経理・財務部門が経営予測や内部監査など、何らかの業務でデータ分析・活用に取り組んでいる企業は、回答全体の約半数(54%)だった。また、データドリブン経営への変革に対する、CFO/経理・財務幹部の認識や取り組みの状況、現存する課題が明らかになった。

 企業の経理・財務部門は、データの収集・分析・活用にどのぐらい取り組んでいるのか。アルテリックス・ジャパンと日本CFO協会は、同協会会員を主体とした日本企業のCFOおよび経理・財務幹部218人を対象に、2022年3月23日から5月20日にかけて共同調査を実施した。回答者のプロファイルは次のとおりである。

●業種:製造業38%、情報・サービス16%、商社・卸売業11%、建設・不動産8%、小売業6%、運輸・郵便業4%、その他17%
●グループ売上高:5000億円以上28%、1000億円以上12%、500億円以上8%、100億円以上27%、100億円未満25%
●グループ従業員数:5000人以上33%、1000人以上17%、500人以上10%、100人以上27%、100人未満13%

全社でのデータ分析は回答企業の半数が実施

 同調査は経理・財務部門を対象としているが、まずは全社でのデータ活用について聞いている。結果を見ると、約50%が「企業全体でデータの分析や活用に取り組んでいる」と回答。また、27%が「経営層自体が、データや分析結果に基づいたアプローチで経営判断を行うこと(データドリブン経営)を強く意識して実行している」と回答している(図1)。

図1:企業運営におけるデータ分析の重要度(出典:アルテリックス・ジャパン)
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 データ分析の対象領域を尋ねたところ、「管理・レポート作成のプロセス最適化」(45%)、「収益性向上」(39%)、「意思決定のスピードアップ/効果的な意思決定の実現」(38%)、「予測分析」(29%)が上位に並んだ。また、分析で得たデータや知見の共有方法については、「部門別に個別にデータにアクセス」(40%)が突出し、「中央集権型の分析チームが企業の全データにアクセス」(9%)、「あらゆる部門をまたいでデータにアクセス」(8%)という結果だった。

経理・財務部門の業務デジタル化は「遅れている」が6割

 調査では、「今後5年間で自社の経理・財務の業務量および部署の規模は変化すると考えるか」について見解を尋ねている。その結果、「経理・財務部門の業務量は増えるが、規模は変わらない」という回答は全体の約50%。「規模が大きくなる」という回答は約30%だった。

 同調査は、経理・財務部門では近年、ESGや人的資本経営など非財務情報に関する開示、BEPS(税源浸食と利益移転)による税務情報の開示など業務量が増えていることを挙げ、その解決のために、経理・財務部門においても業務のデジタル化が進んでいるのかを尋ねている。

 回答を見ると、業務のデジタル化が「非常に遅れている」または「遅れている」とした回答が58%と、厳しい結果になった。売上高との相関を調べると、「ある程度進んでいる」と答えたのは、売上高100億円以上1000億円未満で約35%、1000億円以上5000億円未満で42%、5000億円以上で52%と、売上高に応じてデジタル化が進んでいる。

 また、経理・財務プロセスにおいて業務変革・高度化を目指したデジタル戦略の策定状況については、グローバル/日本拠点のいずれかまたは両拠点に「デジタル戦略が存在する」(42%)、「現状ないが検討中」(28%)と、合わせて7割の企業が経理・財務プロセスのデジタル戦略に取り組んでいることが明らかになった(図2)。

図2:経理・財務プロセスの業務変革・高度化を目的としたデジタル戦略(出典:アルテリックス・ジャパン)
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●Next:「データ駆動型CFO組織」の実現に向けて

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